地域において担っている役割
土岐市病院事業は、土岐市立総合病院、土岐市老人保健施設やすらぎ、土岐市国民健康保険駄知診療所から構成される。その中心を担っている土岐市立総合病院は、土岐市及び瑞浪市の二次救急医療圏の基幹病院として地域の急性期医療、救急医療を担うとともに、回復期医療にも対応し、地域の方々が必要とする医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
入院・外来ともに患者数が前年度より大幅に減少した。前年度末の常勤医師の大量離職が大きく影響し、外来では内科受診の制限をせざるを得ない状況となり、入院では④病床利用率が前年を8.6%も下回った。一方、費用削減として、患者へ処方する薬を院外処方へ切り替えたことから、⑧材料費対医業収益比率は大幅に改善された。結果、①経常収支比率、②医業収支比率は前年を大きく下回り、費用削減によって減益を埋めることはできず、大きな損失を生んでしまった。
老朽化の状況について
当年度は、経年劣化による故障が発生していた空調システムの更新や、電子カルテシステムを常時安定して稼働させるため、ネットワーク機器の更新等を行った。土岐市立総合病院は開院して30年を経過し、施設や医療機器の老朽化が進んでいる。①有形固定資産減価償却率、②器械備品減価償却率は年々増加し続けている。毎年、必要な更新をしているものの、③1床当たり有形固定資産が示すとおり、類似病院平均値とは大きな差が開いてしまっている。つまり、減価償却が進み、更新が迫られている医療機器等は多くあるものの、更新等の投資はあまり進められていない状況にある。
全体総括
前年度末の医師の大量離職に対し、新たな医師を確保できなかったことが収益の悪化につながった。医師不足は全国的な課題で、医師の確保は困難であり、次年度も収益の悪化が予想される。この状態が続くと、市民へ適切な医療を提供する体制が保てなくなる可能性がある。その中で協議を重ね、将来的に当院と隣接市内にある病院を一病院化し、それまでの間は当該病院の運営母体が当病院事業の指定管理者となることを決した。本市のみならず、東濃中部の医療提供体制を整え、また医師不足解消の一因となることが期待される。大きな改革を決めたことに満足せず、引き続き地域に必要とされ、安定的な医療を提供する体制づくりを目指す。