地域において担っている役割
厚木市立病院は、平成15年4月に神奈川県から経営移譲を受け開設し、厚木市及び愛川町を中心とした県央地域の公立の基幹病院として、地域の医療機関との連携を推進するとともに、急性期を中心とした二次医療の提供や、専門性に基づく高度医療の強化に努めています。また、救急・小児・周産期・災害・感染症などの政策的医療の提供も併せて行っています。
経営の健全性・効率性について
平成29年度の経常収支比率及び医業収支比率は、平均値より低いものの、対前年度比で改善しました。累積欠損金比率は、新病院の完成に伴う減価償却費の増加により12.4ポイント上昇しました。病床利用率、入院患者1人1日当たり収益及び外来患者1人1日当たり収益は、平均値を上回っており、収益の効率性を確保しています。費用の効率性は、職員給与費対医業収益比率及び材料費対医療収益比率が平均値より下回っています。今後、医療体制を更に強化していくため、採用計画に基づき医師、看護師等の増員が見込まれることから、収支バランスに注視ししていく必要があると考えています。
老朽化の状況について
平成29年12月に新病院がフルオープンしていることから、有形固定資産減価償却率は、平均値より大きく下回っています。器械備品減価償却率も平均値より下回っています。1床当たりの有形固定資産は、平成28年度及び平成29年度が平均値より高くなっています。これは、平成28年度に第二期工事完了に伴い、新病棟や外来棟が完成したことによるものであり、平成29年度は、駐車場などの外構工事が完了したことによるものです。今後は、この投資によって整備された医療資源をフル活用し、医業収益の向上を図りながら、減価償却費等の増大に備えていく必要があると考えています。
全体総括
新病院がフルオープンしましたが、建設費の増加や工事計画の遅れにより予定していた収入が得られないことで累積欠損金が増額するなど、経営の面でマイナスの要素が残っています。今後、人員の適正配置、経費や材料費の節減に努めるなど、費用対効果を考慮し、収益の向上と費用の削減を図りながら経営基盤の強化に努めます。また、経営基盤を安定させた中で、医療体制の強化を図り、地域医療支援病院として地域の医療機関等との連携を更に深めていくとともに、専門性に基づく高度医療、安心・安全で質の高い医療の提供をしていきます。