地域において担っている役割
人口18万人を超える日野市において総合病院としては唯一の急性期中核300床の二次救急病院であり、災害拠点病院となっています。地域包括ケアシステムにおける急性期病院としての役割に加え、現在、地域医療支援病院について令和4年度から承認を受ける方向で調整を進めており、地域の医師会やクリニック、回復期・療養型病院、介護施設等とのより一層の地域連携強化を進め、地域全体の医療の質の向上に取り組んでいます。また、市民の安全安心のため、内科系、外科系、小児科、産科は24時間365日の救急医療体制は引き続き維持するとともに、新型コロナウイルス等の新興感染症や災害時の対応等、有事の対応についても都の要請に応じ、市や医師会等と連携した対策に取り組んでおります。
経営の健全性・効率性について
令和2年度以降、1病棟をコロナ専用病棟として確保していること、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から手術等を抑制した時期があること等から④病床利用率は昨年度を下回りました。また、病床利用率の低下に伴う医業収益の減により②医業収支比率も前年度を下回りました。更に同様の理由で⑦職員給与費対医業収益比率と⑧材料費対医業収益比率も前年度を大きく上回りました。なお、⑦については医業収益減の他、新型コロナウイルスの対応増による委託費等の増加の影響もあることが考えられるため、引き続き委託等の経費についても注視して参ります。⑤入院患者1人1日当たり収益、及び、⑥外来患者1人1日当たり収益は前年度を上回りました。いずれも患者数が減少する一方で診療単価は高くなったことによるものと考えられます。⑥は未だ平均値を下回る状況ですが、これは従来より当院の受診を希望する患者は診療単価が低い患者も含め積極的に受け入れてきたことが原因であると考えます。また、③累積欠損金比率も類似団体との差が大きい状況です。これは、通常では一億前後で経常収支の赤字となっていたところ、平成26年度から平成28年度における3条の市繰入金が経常収支の赤字分を補てんできなかったため、経常収支の赤字(額として2.2億円~5.6億円)が大幅に増えたことによる影響が残っているためと考えられます。一方、①経常収支比率はコロナ専用病棟の空床確保料等、新型コロナウイルス感染症対応関連の多額の補助金が充てられたため、前年度を大きく上回りました。
老朽化の状況について
2①有形固定試算減価償却率と②器械備品減価償却率について、類似団体との差が大きい理由として、当院では4カ年の更新計画に沿って機器更新等を進めていますが、各年度での収支状況、さらに起債借入の抑制を考えた中で、随時購入の必要性をその都度検討していることから、更新が延伸しているため老朽化が他団体と比較して高いと考えられます。また、2③1床当たり有形固定資産(円)についても、NBC災害・テロ対策設備整備事業に係る補助金、休日・全夜間診療事業参画医療機関施設整備費等補助金、東京都新型コロナウイルス感染症医療提供体制緊急整備事業を活用し、当院が東京都災害拠点病院・周産期連携病院・東京都新型コロナウイルス入院重点医療機関として役割が担えるよう定期的な機器整備を行ったことによるものと考えられます。今後とも急性期病院、災害拠点病院としての機能維持、CO2規制への対応を行うとともに計画的な設備、機器の更新の中で適正化を検討して参ります。
全体総括
・類似病院と比較して改善が必要な項目については適正な人員配置及び業務効率化、手当の見直しを行う等の費用削減に努め、適宜柔軟な看護配置を検討、地域医療支援病院承認に向けた紹介・逆紹介の推進、その他経営支援ツールやコンサルを活用し、病院一丸となった課題解決が必要であると考えます。・新型コロナウイルスの影響により医業収益は大きく下がりましたが、コロナ患者専用病棟の空床確保等による補助金により前年度に引き続き黒字を達成することができました。今後はアフターコロナを見据え、現体制の機能維持、経営改善に取組んで参ります。・令和4年度に地域医療支援病院となること(予定)を受け、体制強化のため地域医療支援センター(仮称)の部署を新設します。地域連携策の強化や紹介患者や救急患者の積極的な受入れ等、地域全体の医療の質の向上、役割分担の推進を行うことを通じ、患者の安心安全の確保、より良い医療サービスの提供に努めて参ります。・喫緊の課題として、救急を含めた現診療体制を維持するための医師確保、それと連動した医師の働き方改革の対応があります。また、コロナ禍で延期となった地方公営企業法全部適用についても、経営状況を見ながら継続して適用時期について協議して参ります。