地域において担っている役割
春日部市立医療センターは旧春日部市立病院から平成28年7月1日に新築移転した。当センターは医療連携体制を支える地域の基幹病院として、地域で不足する専門的な医療を実施している。また、地域がん診療連携拠点病院としての機能強化を図りながら、小児、周産期、救急、災害時医療などの地域拠点病院としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は平成27年度まで類似団体平均値を上回っていたが、平成28年度は新病院への移転に伴う入院患者受入れや手術の抑制による影響および旧病院建物等の除却費の計上により、大きく下回っている。②医業収支比率は医業収益が増えているものの、人件費や経費等の増大により低く推移している。③累積欠損金比率は類似団体平均値を下回っているが、微増傾向である。④病床利用率は低く推移しているが、新病院開院後の平成28年度下半期においては78.2%と上昇している。⑤入院患者1人1日当たり収益は、平成27年度は産科の休止、平成28年度は新病院への移転による患者の受入抑制等の影響により低く推移している。⑥外来患者1人1日当たり収益は、高額な薬品を使用する抗がん剤治療の増加により上昇傾向である。⑦職員給与費対医業収益比率は、業務委託化、人員配置の適正化により類似団体平均値を下回っている。⑧材料費対医業収益比率は、高額な抗がん剤の使用が増えている影響で上昇傾向である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②機械備品減価償却率は、平成28年度の新病院開院に伴い、旧病院建物等の除却を行ったことで大きく下降しており、当面は老朽化の問題はない。今後は施設等の経年劣化、医療機械の更新に備えていく必要がある。③1床当たり有形固定資産は、新病院建物、構築物および新規導入した医療機械等の計上に伴い、大きく上昇している。
全体総括
当センターの経営状況については、新病院開院後、入院・外来収益は着実な推移を示したものの、新病院移転に向けた入院患者の抑制による入院収益の落ち込みや、新病院移転後の新しい環境であることを考慮して段階的に患者数を増やしてきたことによる影響、また、旧病院建物の除却費を計上したことなどにより純損失が生じた。今後は平成28年度に策定した中期実施計画に基づき、病床利用率、手術件数及び紹介率の向上を図り、安定した持続可能な経営基盤を確立していく。