経営の健全性・効率性について
経営状況の分析に当たり、平成26年度は公営企業会計制度の見直しがあり対前年比較できない部分もある。また、有収水量は5カ年前と比較し4.7%、3カ年前より3.9%と下落し続けている。これらの背景を踏まえ、まず③流動比率であるが類似団体平均と比較し流動資産額が極めて少ない状況である。今後も動向に注意し、現金等の確保が必要である。⑦施設利用率では供給できる水量は確保できているが需要が落ち続けるため、施設利用率は今後も下がり続けると思われる。⑧有収率は漏水と思われる原因により増減幅が大きい。⑥給水原価については現在は恵まれた水源を持ち安価で提供できているが、今後は有収水量の減少により徐々に単価の上昇が見込まれる。有収水量の減少に伴い料金収入も減少しているが、④企業債残高対給水収益比率によると類似団体は横ばいで推移するのに対し、当町においては料金収入が減少しているにもかかわらず比率でも減少している。これは、順調に償還を行っているが、起債し施工する建設改良工事である投資を控えてきた結果でもある。⑤料金回収率より現状の料金設定、設定方法等が適切でないため供給するための費用が料金収入で賄えていない。また、⑦施設利用率も合わせ供給能力が過剰となり、非効率的な供給となっている。
老朽化の状況について
当町の供給区域面積9.29km2内の管路延長169kmうち9.1%である約15.4kmが27年度末で更新を必要としている管路である。まず、①有形固定資産減価償却率よりグラフのとおり毎年老朽化が進んでおり、今後も耐用年数を経過した管路が順次発生する。③管路更新率より順次発生した老朽管の更新は、他の工事との兼ね合いもありにばらつきが見られるが、石綿セメント管を主に更新工事を計画的に実施していく必要がある。
全体総括
今後も人口減に伴う有収水量の減少、及びそれに伴う料金収入の減少が見込まれる中、比較的原価が安く、十分な給水量を確保できているが、料金収入では経費を相殺できず、老朽管の更新など建設投資が十分に行われていない経営を行っている。維持管理費等の経常経費の節減に努め、流動資産の確保を図る経営改善は必要であるが、安定した供給を行うために、老朽管の更新工事や、必要に応じ施設の改修などの計画的な投資が可能となる収入を得るため、状況に即した料金の定期的な改定など検討が必要である。また、これらを踏まえ効率よく事業展開できるよう各種計画し、健全な運営を図る。