経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、109.81%と100%を超えているが、⑤料金回収率は85.24%となっており、給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われている。給水収益と一般会計からの繰入金等の総収益により黒字となっているのが現状である。これらの要因は、本町の地形等の地理的要因によりポンプ場や配水池等が多く施設整備され、ランニングコストが割高となり、⑥給水原価が342.93円と類似団体の平均値を大幅に上回っている。平成27年度から広域水道の受水費の供給単価引下げにより、経常経費は減少することが見込まれるが、年間総有収水量も同様に減少しており、大きな資本費の減少は見込めない。⑦施設利用率については、52.59%と類似団体と同水準となっているが、節水意識の高まりや給水人口の減少などにより水需要は減少しており、年間総配水量も同様に減少しているため、配水能力に対する割合は、今後も50%前後と見込まれれる。⑧有収水量については、震災後の平成23年度から5ヵ年計画で漏水調査事業に取組み、漏水防止の強化により有収率も着実に向上しており、早期発見による無効水量の減少に努めている。経営改善として、給水区域内の水道未加入者に対する加入促進の啓発、水道料金滞納者に対する給水停止等の未納対策の徹底を図るとともに、料金改定等も含めた対応を検討しながら給水収益の増収に努める。また、施設管理等に係る必要経費や企業債利息を除いた経費の削減を図っているが、今後も効率的な業務運営や経費の更なる節減に努める。
老朽化の状況について
昭和60年代に入ってから新たな水道管拡張工事を行っており、これらの拡張工事の更新が平成40年代から集中して発生することとなる。そのため更新投資の集中期間を分散するため、長寿命化計画や配水池等の施設のダウンサイジング、管路敷設効率性の検証に基づく管路の縮小・効率的配置の検討を行う。また多額の更新財源が必要となり、投資財源の確保のため、収入総額をいかに現状維持していくかが今後の経営課題であり、今後の更新費用も含めた段階的な料金改定を検討する必要がある。
全体総括
本町は地形等の地理的要因により建設改良費やランニングコストが割高となり給水原価が著しく高額となっている。一方、給水に係る費用については、平成27年度から広域水道の受水費の供給単価引下げにより費用負担が軽減されるものの、各施設の老朽化による修繕費等の維持管理費が年々増加する見込みであり、今後も更に厳しい経営が予想される。また、給水人口の伸びが見込めない現状と、経済情勢の悪化による産業の生産基盤の不安定などにより、当初計画した水需要量に差異が生じており、収益の伸びが見込めない状況となっている。以上のことから、依然として財政的に困難な状況が見込まれるため、施設の更新計画等の中長期的な計画を早期に策定し、今後ともより一層の経費の節減と効率的な事業運営を行い収益の確保に努め、企業経営の健全化に努めていく。