地域において担っている役割
当院は,気仙沼地域の中核的病院として,救急医療,周産期医療及び小児医療などを担っているほか,当地域にはない診療科なども標榜し,他の医療機関などと連携して地域医療を支えている。また,東日本大震災では,災害拠点病院としてその役割を果たした。
経営の健全性・効率性について
【経常収支比率,医業収支比率】経常収支比率は平成13年度の101.5%,医業収支比率についても平成13年度の100.5%を最後に,どちらも100%を下回っている状況が続いている。また,経常・医業収支比率ともに各種平均値を下回っている要因としては,人口減少や医療ニーズの変化に対応しきれず,収益の減少に歯止めが掛からないことや,人件費や委託料といった経費の抑制が進んでいないこと,そして,新病院へ引越しに伴い患者数を抑制したことが挙げられる。新病院改革プランで設定した目標との比較では,経常収支比率が目標値91.3%に対し88.6%,医業収支比率が標値89.1%に対し85.1%でいずれも目標を達成できなかった。【累積欠損金比率】平成2年度決算において累積欠損金が発生して以降,赤字計上が常態化し,平成29年度決算で118.8%まで悪化している。【病床利用率】稼働病床の336床ベースでは利用率73.9%となるものの許可病床404床での稼働率は表記のとおり64.6%と平均値を下回っている。平成29年度は新病院への引越し伴い,許可病床340床となったが病床利用率は微増にとどまった。但し、ニーズのある回復期病床も設定されることから今後相応の改善を見込む。新病院改革プランの目標値は74.4%に対し64.6%で目標は達成できなかった。【入院・外来患者1人1日当たり収益】入外ともに各種平均値を下回っている状況。要因としては,看護配置10:1を標榜している点や,他院との在院日数の差が挙げられる。【職員給与費対医業収益比率】各種平均値より良好なものの,50%を超えており改善が必要。また,委託料自体も増加しているので注意を要する。新病院改革プランの目標値は49.4%に対し新病院への引越し伴う手当の増加により53.6%と目標を達成できなかった。【材料費対医業収益比率】後発医薬品の導入促進は図っているが,新病院への引越による払出しの増加などにより平均値を上回った。新病院改革プランの目標値は23.0%に対し24.7%となり目標は達成できなかった。
老朽化の状況について
【有形固定資産・機械備品減価償却率】器械備品は定期的に更新及び新病院において耐用年数を超えて使用していた器械を更新したこと,また,新病院の開院により建設仮勘定から各固定資産が増加になったものの,減価償却費は翌年度開始のため平均値を大きく下回った。有形固定資産全体では,新病院の建設及び新病院建設に伴う医療機器の更新により,大幅な改善となった。【1床当たり有形固定資産】有形固定資産減価償却率が低位であるため,本決算期における各種平均値も良好な状況にあるが,新病院の建設により1床当たりの有形固定資産額が上昇した。今後の収益的支出には注意を要する。【有形固定資産・機械備品減価償却率】器械備品は定期的に更新及び新病院において耐用年数を超えて使用していた器械を更新したこと,また,新病院の開院により建設仮勘定から各固定資産が増加になったものの,減価償却費は翌年度開始のため平均値を大きく下回った。有形固定資産全体では,新病院の建設及び新病院建設に伴う医療機器の更新により,大幅な改善となった。【1床当たり有形固定資産】有形固定資産減価償却率が低位であるため,本決算期における各種平均値も良好な状況にあるが,新病院の建設により1床当たりの有形固定資産額が上昇した。今後の収益的支出には注意を要する。
全体総括
慢性的な医療従事者の不足や人口減少など,当院を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いている。そうした中で,新病院での開院を迎え,医療機器の更新など,ハード面が充実され,今後は,公立病院の使命である,地域住民への「安定的な医療の提供」と,「持続可能な病院経営」を両立すべく,ソフト面での充実が喫緊の課題と捉えている。平成29年3月に策定した「気仙沼市立病院新改革プラン」において、平成29年度は、新病院に回復期リハビリテーション病棟を設置に伴い,リハビリテーション単位数55,000単位の目標に対し65,487単位、臨床研修医受入人数は10人の目標に対し11人となり、一部の項目において目標を達成した。今後も、各種経営課題に職員一丸となって取り組み,地域住民の方々に信頼され,選ばれる病院を目指していく。