地域において担っている役割
宗谷二次医療圏[総面積4,626k㎡]広域な面積を有する圏域の基幹病院であるが、隣接している他の二次医療圏域からの患者も多数受け入れている。当院は、圏域において唯一の産婦人科、精神神経科、眼科、耳鼻咽喉科を有する地域センター病院として二次医療を担っているが、「かかりつけ医」が不足している当地域において、併せて一次医療をも担っているものである。当地域での輪番制が廃止されて以降、24時間365日の救急医療に取組み、圏域住民の生命と健康を守る重要な使命を果たしている。
経営の健全性・効率性について
当院の経営状況は、平成23年度に循環器内科、平成27年度に耳鼻咽喉科、平成28年度には泌尿器科の常勤医師が不在になったことに伴い、入院診療体制の休止並びに出張医による外来診療体制へと変更となるなど、最低限での診療体制を維持するための医師派遣経費が増加している。さらには、医師不足に伴い常勤医師への業務負担が増大したことを受け、勤務改善・業務改善として、各種手当の見直しを行ったため給与費が増加したものである。その結果、一般会計が負担するべき経費の範囲で経費負担をしていただき、資金不足が生じないよう経営の健全化を目指すと伴に、経営改善に向け目標数値の設定など努めている。
老朽化の状況について
当院の施設は、本館棟が完成から33年、精神科棟が43年と経年劣化が見受けられる年数となっている。精神科棟については、平成28年に耐震基準を満たすため耐震補強工事を行ったほか、併せて、病棟の改修工事を(H28年-H29)2年間の予定で実施している。なお、医師が最新の医療機器を用いて診療に従事でき、過大な投資とならないよう医療機器の購入並びに施設の改良工事を計画的に行うものである。
全体総括
当院が担っている役割を本市以外の自治体若しくは民間医療機関が担うことは想定できないことから、現に有している医療機能を堅持していく必要がある。そのためには医師派遣元である大学並びに関係医療機関との連携を一層緊密にし、医師をはじめとする、医療スタッフの確保・育成によるチーム医療の充実を図ることが重要であると認識している。医師をはじめとするスタッフが充足されることで、住民が安心して医療を受けられる体制が整備され経営の改善がなされ、安定した経営基盤の維持に繋がっていくものと考えている。しかし、現状、かかりつけ医である一次医療機関が少なく、本来の役割である二次医療が損なわれており、今後は、医師確保は当然としても、行政機関との協同を図りかかりつけ医(開業医)の誘致等の推進、超高齢社会の医療ニーズの把握に努めるとともに、関係機関との連携・強化等に努めていく必要がある。