苫小牧市：苫小牧市立病院

地域において担っている役割

地域医療構想を踏まえ、圏域内の高度急性期及び急性期医療の提供を行っており、救急告示病院、小児救急医療拠点病院、地域周産期母子医療センター（ハイリスク出産及び出産後のNICU・GCUで新生児治療）、災害拠点病院（地域災害医療センター）及び新型コロナウイルス感染症重点医療機関などの役割を担っている。

経営の健全性・効率性について

①経常収支比率は90％台で推移していたが、令和２年度は補助金等の増により100％を上回った。一方で②医業収支比率、④病院利用率は、新型コロナウイルス感染症の対応に集中するため、通常診療の一部制限等により令和元年度以前の実績値から大きく減少した。⑤、⑥入院患者、外来患者の１人１日当たり収益は、上記コロナ対応により、急性期医療に特化した診療を行った結果と分析している。⑦職員給与費対医業収益比率は、給与費は大きく増加していないが、医業収益の減少が比率に影響した。⑧材料費対医業収益比率は、医業収益の減少と連動して材料費も減少したため、比率への影響が少なかった。

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率は、平成18年度に新設した建物、設備等の減価償却が進み、類似病院平均値を上回っている。②器械備品減価償却率は、令和元年度と比較すると減少したものの、依然として類似病院平均値を上回っている。③１床当たり有形固定資産は、全国平均値をやや上回っているものの、類似病院平均値以下であるため、適切な投資と分析している。病院施設、医療機器等の老朽化が進行しているが、適切な点検・診断により機能保全、長寿命化を図り、今後も優先順位を見極め、計画的な更新を継続する必要がある。

全体総括

令和２年度の経常収支は黒字に転じたものの、医業収益は大幅に減少した。老朽化した医療機器等の更新を控えている中、累積欠損金比率の増加傾向が続くなど依然として厳しい経営状況ではあるが、圏域内における中核病院及び地域の急性期病院さらには新型コロナウイルス感染症重点医療機関としての役割を果たしながら、収益の確保や様々な費用の抑制に一体的に取り組んでいく必要がある。