地域において担っている役割
当院の果たすべき役割は、ヘリポートを備えた災害拠点病院として幅広い救急医療を担い、現在の高度急性期機能及び急性期機能を推進することと考えています。そのほか、小児・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供や、民間医療機関では限界のある高度・先進医療を担うことも公立病院として重要な使命と考えます。これらの役割を推進することで、小樽市を中心とした後志医療圏において、高度急性期機能及び急性期機能を中心とした総合的医療を行う地域基幹病院を目指します。
経営の健全性・効率性について
経常損益や医業損益については、類似病院や全国の平均値を下回っています。これは、平成26年度に二つの市立病院を統合し、新市立病院を建設したことに伴う減価償却費の増加などが主な原因であると分析しています。累積欠損金比率についても、類似病院や全国平均を上回る状況が続いていることから、更なる経営の効率化が必要な状況にあります。一方で、施設の効率性については、病床利用率が類似病院や全国の平均値を10%以上上回っており、良好な状態であると思われます。また、収益の効率性及び費用の効率性については、概ね類似病院や全国の平均に近い数値ですが「⑥外来患者1人1日当たり収益」は平均値を下回っています。これは、類似病院や全国の平均値には院内処方の病院が含まれている一方、当院は平成26年度から院外処方を開始したため、薬剤に関連する外来収益が減少したことが主な原因と思われます。
老朽化の状況について
平成26年度に二つの市立病院を統合し、新市立病院を建設したことに伴い、施設全体の減価償却費の状況及び機械備品の減価償却の状況は、類似病院や全国の平均値を大きく下回っています。また、建設投資の状況については、1床当たり有形固定資産の金額が類似病院や全国平均と近い数値となっており、設備投資の水準は概ね適正であると思われます。
全体総括
新市立病院の開院に伴い、病床利用率が大きく向上するなど、施設の効率性に改善が見られましたが、経常損益及び医業損益については、減価償却費の増加などにより100%未満の状況が続いています。当院は、病院事業経営の改革に総合的取り組むため、総務省が平成27年3月31日に策定した新公立病院改革ガイドラインに基づき、平成29年3月1日に「新小樽市立病院改革プラン」を策定しました。今後はこのプランに掲げた取組を着実に実施し、健全で自立した病院経営に努めてまいります。