経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」については数値が100%未満となっており、また、経年比較においても平成26年度に減少していることから、経営の健全性が確保されているとはいえない状況です。これは平成24~26年度にかけて実施した新規分担区の管渠整備事業の工事費が影響していると考えられます。「料金回収率」についても類似団体と比較すると高い数値ですが100%を下回っていますので、「料金の適切性」を図るため今後料金改定も視野に入れて改善していく必要があります。「企業債残高対事業規模比率」は類似団体と同様か若干低い数値で経年比較も減少傾向にあります。「施設の効率性」については「施設利用率」が類似団体より低い数値であり、経営の効率性における課題となっています。施設は全体計画能力を有しているため現在は処理能力にまだ余裕がある状況です。直近の最大稼働率が約68%、負荷率が約71%となっており施設規模はほぼ適正な範囲であると考えられます。「水洗化率」については類似団体より高い数値となっており、経年比較も改善傾向にあります。
老朽化の状況について
「管渠改善率」が類似団体等に比較して低く更新が進んでいない状況となっていますが、法定耐用年数を超えた管渠はなく、布設から30年が経過するものも目視調査の結果特に老朽化は確認されていません。なお、下水処理施設については老朽化が進んでおり、現在長寿命化計画に基づいた施設の改築更新を実施しています。
全体総括
「収益的収支比率」及び「料金回収率」を分析した結果、収益で費用を賄えておらず、その収益も料金収入以外に繰入金に依存している状況にあり、適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減を行って改善していく必要があります。また、管渠については法定耐用年数を超えたものはなく早急な改善等の必要性は低いですが、施設については引き続き長寿命化計画に基づいた改築更新を実施していく必要があります。今後の施設更新等の財源確保のため、料金改定についても検討し計画的に更新を行っていく必要があります。