経営の健全性・効率性について
本市は平成17年4月1日に淡路島北部の5町合併によって誕生した市であり、旧町における中心的市街地が各地に点在しています。また、市の南北には北淡山地が貫いており、山間部が多いことから、下水道の整備に要する建設改良費が割高で、その結果、資本費が高額となっています。一方、本市の公共下水道の供用開始は平成9年度であり、供用開始以前に阪神・淡路大震災の発生により、浄化槽によって水洗便所を設置している人口が多いことから、下水道への接続率を示す水洗化率は70%程度にとどまっています。また、料金収入は新型コロナウィルス感染症の影響により、大口使用者の料金収益が大幅に減少し、賄うべき汚水処理費を賄うことができず、経費回収率についても60%程度に減少しています。対応策として、供用開始から3年以内の区域を対象に、下水道使用料の減免や早期接続奨励金の制度を継続するとともに、戸別訪問等による接続促進活動を行い、今後とも水洗化率の向上を図っていきます。なお、本市内の淡路・東浦処理区においては、公共下水道事業で建設した処理場等の施設を特定環境保全公共下水道事業でも使用しています。そのため、公共下水道事業の類似団体平均値との比較では資本費が高額となっていることから、企業債残高対事業規模比率について高くなっており、施設利用率については低くなっています。
老朽化の状況について
本市の下水道事業については、供用開始から約25年であることから、管渠の更新は行っていません。一方、処理場等の施設については耐用年数を過ぎて老朽化が進んでいることから、津名、淡路・東浦浄化センター及び各中継ポンプ場においては平成22年度に策定した長寿命化計画及び平成30年度策定のストックマネジメント計画に基づき、経年劣化によって機能が低下した設備の更新を行っています。今後、津名浄化センターにおいてもストックマネジメント計画をもとに老朽化した設備の効率的な更新を行っていく予定です。
全体総括
本市の下水道事業では、平成20年度から包括的民間委託により維持管理費の削減を図るとともに、後年度に発生する元利償還金を抑制するため、建設改良費を大幅に抑えてきました。また、平成22年4月1日から下水道使用料を改定し、全体で約12%の値上げを行い、経営基盤の強化を図ってきました。今後、事業計画の見直しを進め、未整備の区域においては合併浄化槽による生活排水の適正処理を図ってまいります。また、経営の改善に向けて令和元年4月1日より地方公営企業法の財務規定の適用を行い、企業会計導入で経営状況を明確化し、経営改善につなげてまいります。