経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については,ほぼ収益で費用を賄うことができている。しかし,⑤経費回収率は類似団体よりも低く6割にも達していない状況であり,使用料収入の確保が課題となっている。令和3年度は,使用料収入は減少したものの,人件費や資産減耗費が大幅に減少したことから2年連続で純利益を計上することができ,②累積欠損金は発生していない。③流動比率については100%未満ではあるが,流動負債の82%は翌年度償還予定の企業債であり,財源は一般会計からの繰入金を主なものとして充てるため低くなっている。④企業債残高対事業規模比率については,企業債の償還ピークを迎えており,今後は類似団体と比較して少ない状況に推移していくと思われる。今後も計画的な投資と適正な債務残高の維持に努める。⑦施設利用率は隣接市から受け入れている汚水処理量が今後増加することが見込まれ,当年度末に1池増設したため,昨年度より利用率が低下している。今後は,農集統合事業が段階的に完了していくことで⑥汚水処理原価が抑えられる見込みだが,併せて⑦水洗化率を向上させて使用料収入を増とすることで,安定した経営が行えるように改善していく。
老朽化の状況について
平成6年3月の事業認可を受け事業に着手してから27年が経過している。処理場・管渠については耐用年数を経過してはいないが,計画的に設備等の改築更新を行っていくため,令和元年度に公共下水道事業ストックマネジメント計画を策定した。現在は,この計画に沿って継続的に設備等の長寿命化を図っている。
全体総括
当町では,平成29年度をもって面整備を完了し平成30年度より公営企業会計を導入している。現在,町内の広域化を進めるため農集統合事業に着手しており,これにより処理施設の維持管理費の削減を図る。また,ストックマネジメント計画の策定により,今後の維持管理・施設更新をより効率的に行うことで施設の長寿命化を図りつつコストの抑制を図る。使用料収入については,水洗化率の向上による有収水量の増加での収入増を図るが,今後は人口減少による厳しい状況が予想される。そのため,経営戦略の改定を行い,住民に対して現状の理解と今後の使用料改定について周知を図っていく。