経営の健全性・効率性について
・経常収支比率については100%以上となっており、収支は黒字になっている。これは、高資本費対策経費を繰入しているためではあるが、この操出基準は供用開始後30年までの施設が対象で、当町では、令和9年度以降は対象外となる。このことから、その後の指標には注意する必要がある。・流動比率の値が100%を下回り、また企業債残高対事業規模比率が類似団体と比較して高くなっているのは、本町が中山間地域にあるため処理人口が小規模の割に、当初の下水道管渠建設に多額な費用がかかり、その地方債借入額が高額であることが影響していると考えられる。・経費回収率が100%以上となっているが、これは、経常収支比率と同じく高資本費対策経費を繰入することで100%以上となっているため、操出基準の対象外となる令和9年度以降の指標に注意する必要がある。・汚水処理原価については、使用料単価150円/m3より低くなっているが、引き続き維持管理費の削減に努めたい。・施設利用率については、人口減等により使用水量が減少しているため、減少傾向である。当町では、処理施設の統廃合計画を進めており、統廃合を進めることにより本指標は向上する見込である。・水洗化率は92%と類似団体平均値より高い値となっている。今後も経営安定化のため水洗化の向上に努めたい。
老朽化の状況について
管渠は、最も古いもので建設から20年経過程度で、直ちに老朽化の問題があるわけではないが、将来の改築更新に係る財源確保に関して考えていく必要がある。
全体総括
本事業は、処理区域が中山間地域にあるため処理人口の割に整備管渠延長が長くなっている。そのため、管渠整備費が高額となり、建設当時に借り入れた地方債の償還が現在も経営を圧迫しており、今後も約10年間はその状態が続く。また、今後、処理施設や管渠の更新を考慮した中長期的な収支計画を策定し、料金改定の検証を行うことで健全な経営に繋げたい。