地域において担っている役割
日南串間医療圏の中核病院であり、以下の疾病・事業等に係る基幹的な拠点病院としての役割を果たしている。・疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)・事業(救急医療、小児医療、周産期医療、災害医療)・その他(第二種感染症指定医療機関、臨床研修指定病院)
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び②医業収支比率ともに、平均値を大きく下回っている。これは、地域の中核病院としての役割を担うために一定の費用が必要となる一方で、近年は地域の人口減少等により収益を上げにくい状況となっているものである。③累積欠損金については、H26からの会計制度改正により大幅に圧縮されたが、それでも平均値を大きく上回っている。④病床利用率の当該値は平均値を下回っており、受入患者の増加を図り、利用率を向上させる必要がある。なお、稼働病床に対する利用率は77.2%(H29)である。⑤⑥入院・外来患者の1人1日当たり収益は、ともに平均値を下回る一方で、⑦職員給与費対医業収及び⑧材料費対医業収支比率は平均値を上回っている。さらなる収益の確保、費用削減が必要である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、現在の建物が改築から20年近く経過していることから、平均値を大きく上回っている。なお、建物の長寿命化と保全費用の平準化を図る長期保全計画を策定し、これに基づいて建物の維持管理を行っていくことにしている。②機械備品減価償却率は平均値を上回っているが、医療機器については、保守点検の実施により現有機器を適切に管理するとともに、計画的な更新を行うこととしている。③1床当たり有形固定資産は平均値を上回っているが、これは、中核病院としての役割を担うために必要な医療機器等を保有しているためである。
全体総括
H29決算は、経営の健全性・効率性を示す項目がすべて平均値に達しておらず、厳しい経営状況にあるが、さらなる経営改善を図り、赤字幅を縮小していく必要がある。このため、収益面では、地域の医療機関との連携等により受入患者増を図るとともに、新たな施設基準の取得等に取り組む。費用面では、医薬品等の共同購入の推進を図り、削減に取り組む。また、医療機器等の更新については、多額の投資となることから、将来の収支状況を見据えながら計画的に実施していく。H27年度に策定した宮崎県病院事業経営計画2015(H27年度からH32年度までの6年間)に基づく経営改善を着実に実行し、県民に高度で良質な医療を安定的に提供できるよう取り組んでいく。