地域において担っている役割
当院は、地域の急性期医療を担う中核病として他の医療機関と連携しながら医療提供を行っている。救急告示病院、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院の指定を受けており、へき地医療と精神疾患を除く5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)全般に対応している。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は新型コロナの影響による患者数の減に加えて、コロナ専用病床を確保したため、病床利用率が大きく低下した。その影響で医業収支比率も前年度と比較して下がったものの、新型コロナの対応を行ったことによる補助金の影響により経常収支比率は大きな影響を受けなかった。費用面では、医業収益の減少により、職員給与費対医業収益比率は増加したものの、材料費対医業収益比率については患者数の減の影響により横ばいとなった。累積欠損金もなく、経常収支比率及び医業収支比率ともに類似病院平均値を上回っていることから、経営の健全性及び効率性については確保できていると判断している。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は例年右肩上がりの傾向である。中でも建物については、築20年以上が経過しており、老朽箇所の補修など複数年計画で外壁等の修繕に努めているところである。その他、医療機器等については、令和2年度に放射線治療装置の購入契約を締結した。納品完了は次年度となっており、今後は機械備品減価償却率の増が見込まれる。
全体総括
当院が属する有明保健医療圏は、少子高齢化の進展による人口減少地域であるが、一方で、医療機関の数も多く病床過剰地域となっている。このような中、当院は地域の医療機関との連携により、紹介患者を中心に高度・専門医療の提供を行い、地域の急性期医療を担っている。また、地域包括ケアシステムの構築に当たっては、急性期を脱した患者が回復期を経て最終的には自宅等にスムーズに戻ることができるよう、退院支援部門の強化を行い、医療機関のみならず介護領域との連携強化にも努めている。