地域において担っている役割
当院は、地域の急性期医療を担う中核病院として他の医療機関と連携しながら医療提供を行っている。救急告示病院、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院の指定を受けており、へき地医療を除く5疾病5事業全般に対応している。
経営の健全性・効率性について
累積欠損金もなく、経常収支比率及び医業収支比率ともに類似病院平均値を上回っており、かつ、100%以上を維持できていることから、経営の健全性については確保されていると判断している。経営の効率性について、まず収益面では、病床利用率は80%前後の推移となっており、入院患者及び外来患者1人1日当たり収益についてもほぼ右肩上がりとなっている。一方、費用面では、職員給与費対医業収益比率及び材料費対医業収益比率はいずれも横這いとなっており、類似病院平均を下回る低い水準となっている。これらのことから、経営の効率性についても確保されていると考えられる。
老朽化の状況について
平成27年度に建物の一部増改築を行ったことから有形固定資産減価償却率は右肩上がりの推移となっている。機械備品減価償却率については77.7%と全国平均値よりも大きな水準となっている。これは、電子カルテ等の医療情報システム一式を導入してから6年目を迎えたことが同率を引き上げている主な要因となっており、これの更新を平成30年8月に実施したところである。なお、病院建物も建設時から20年以上が経過しており、経年劣化が見られることから、外壁改修や屋上防水などの整備工事を複数年計画で実施しながら、施設の長寿命化に取り組んでいるところである。
全体総括
当院が属する有明保健医療圏は、少子高齢化の進展による人口減少地域であるが、一方で、医療機関の数も多く病床過剰地域となっている。このような中、当院は地域の医療機関との連携により、紹介患者を中心に高度・専門医療の提供を行い、地域の急性期医療を担っている。また、地域包括ケアシステムの構築に当たっては、急性期を脱した患者が回復期を経て最終的には自宅等にスムーズに戻ることができる様、退院支援部門の強化を行い、医療機関のみならず介護領域との連携強化にも努めている。こうした地域において求められる役割に基づいた医療提供を行うことで、経営の健全性・効率性を確保している。