宇多津町：公共下水道

経営の健全性・効率性について

近年、有収水量は減少傾向にあり、その中でも使用料単価の高い大口利用者の排水量の減少が影響し、使用料収入も減少している。令和元年度は雨水ポンプ場設備工事の繰越事業に伴う突発的な他会計繰入金の増加により収益的収支比率は大きく伸びているが、当該繰入金を除いた場合の収益的収支比率は前年と同水準である。今後も適切な維持管理の継続と元利償還金の逓減による総費用の縮減を図る。使用料で回収すべき汚水処理費も縮減しており、経費回収率は類似団体平均値を上回っている。汚水処理原価も類似団体平均値よりも抑えられており、現状は、使用料収入で汚水処理費用は賄えていると言える。企業債の償還が進んでおり、企業債現在高は今後も減少していく。企業債残高対事業規模比率についても全国平均数値を下回っているが、施設の老朽化対策や近年重点項目となっている地震・浸水対策への投資は継続されるため、ストックマネジメントを適正に行い、補助金等を有効活用しながら適切な投資を継続し、経営への影響を最小にするよう努める。今後も健全かつ安定的な事業運営のために、大規模な修繕等が発生しないよう計画的な維持管理・点検を行いながら、未水洗化世帯への接続促進活動を通して水洗化率向上を図り、極力使用料収入の確保に努める。

老朽化の状況について

公共下水道の供用開始から34年（令和元年度末）が経過していることから、管渠の老朽化対策として長寿命化計画に基づく汚水管渠の管更生を実施している。平成28年度から平成30年度にかけて管更生工事を実施し、長寿命化計画において定めた緊急度の高い老朽管渠の対策は行った。今後もストックマネジメント計画策定に着手し、計画的な老朽化対策を継続していく必要があると考えている。併せて、雨水ポンプ場においてもストックマネジメント計画を検討し、優先順位付けを行った上で対策を行い、施設管理を最適化して投資の平準化を図る。

全体総括

今後、大規模な下水道整備の進捗はなく、下水道処理人口・有収水量の継続的な増加は見込まれない。使用料収入の大幅な改善は困難な中で、下水道の新規整備だけではなく、近年頻発しているゲリラ豪雨対応や、施設の耐震化、老朽化していく施設への対応など、多様化・高度化するニーズに対し、様々な視点から施策を展開していく必要がある。経営の健全性を保つためにも令和2年度に策定した経営戦略（令和3年～令和12年）に基づき、投資・財政計画の進捗管理・予実管理を十分に行い、常に収支均衡を意識しながら、各取り組みを進めていく。未接続世帯への水洗化促進と計画的なストックマネジメントによる維持管理費の縮減・投資の平準化、費用対効果を意識した投資検証を随時行い、公共下水道事業の経営を持続可能なものとしていかなければならない。