経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は、類似団体平均値並に100%を超えて推移しており、事業の効率的運営に努めた結果、剰余を計上している。「累積欠損金比率」は、過去5年間において黒字決算となり、累積欠損金は発生していない。「流動比率」は、債務に対し支払い可能な現金預金は増加したものの、新会計制度への移行により企業債等が流動負債に計上されることとなったため前年に比べ大幅に低下している。「企業債残高対事業規模比率」は、平成23年度以降、企業債残高のうち公費負担分が全額となっているため比率は0%を示している。企業債残高は着実に減少しているが、営業収益も減少傾向である。「経費回収率」は、汚水処理費の抑制に努めた結果、平成23年度以降、安定的に100%を超えて推移しており、類似団体と比較しても高いといえる。「汚水処理原価」は、年間有収水量、汚水処理費ともに減少となったが、年間有収水量の減少幅に対し、汚水処理費の減少幅が大きかったため、前年に比べ1m3あたりの処理原価は下がっている。「施設利用率」は、類似団体平均に比べても低い数値であり、施設の能力に余裕がある一方で、非効率な状態であるともいえる。「水洗化率」は、100%となることが望ましいが、年次的に上昇傾向にあり、概ね水質の保全がなされている。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は、平成22年度以降、年々、比率が高くなっており施設の老朽化が進んでいることがわかる。可能な限り既存の施設を有効活用しつつ、必要に応じて改築更新を進める必要がある。「管渠老朽化率」及び「管渠改善率」は、法定耐用年数を経過した管渠はなく、また、更新も行っていないが、有形固定資産減価償却率の状況からも、将来的には改築等の財源確保について検討する必要がある。
全体総括
将来的に使用水量が急増する見込みがない状況の中、一方では企業債償還金が高い水準で推移すると見込まれる。このことから、行政としての責任や危機管理に留意し、これまで以上に施設・業務の集約化や効率的な運転管理によるコストの削減、工事に要する費用の縮減等を図り、資金確保と安定的な事業運営に努める必要がある。