経営の健全性・効率性について
【経常収支比率・累積欠損金比率】経常収支比率は100%で推移しており,累積欠損も発生していないが,一般会計繰入金によるもので,基準外繰入の縮小・解消に向け,経営改善に取り組む必要がある。【流動比率】平成26年度の制度改正により大きく減少したが,流動負債の建設改良費に充てられた企業債の比率が高いことによる。【企業債残高対事業規模比率】整備に伴う企業債の借入による企業債残高が多額である。今後も整備に伴う借入により,将来的な負担が大きい。【経費回収率・汚水処理原価】汚水処理原価は約200円で推移し,類似団体平均を下回っている。経費回収率も約100%で推移し,類似団体平均を上回っているとはいえ,施設の維持管理経費の節減に努めていく必要がある。【施設利用率】施設利用率は約50%前後で推移し,類似団体平均と同水準となっている。水洗化率が上がっている割には,施設利用率は上がっていない。【水洗化率】水洗化率は約80%前後で推移しているが,類似団体平均を下回っている。整備の進捗により水洗化率は徐々に上がっているが,高齢化や家屋の老朽化,経済的理由などによる未接続世帯もあり,接続推進に向けた施策の検討が必要である。
老朽化の状況について
【有形固定資産減価償却率・管渠老朽化率・管渠改善率】平成26年度の減価償却率の増加は,制度改正に伴う減価償却累計額の増加によるものである。グラフ③函渠改善率の表中,平成27年度のデータ「1.89」は,誤記載で正しくは「0」である。したがって,グラフには数値が記入されているが,管渠老化率,管渠改善率はともに0%で推移している。平成9年度に供用開始し,18年が経過した。管渠が耐用年数を経過するにはまだ年数があるとはいえ,今後,経年による施設の老朽化,維持修繕,更新費用が増大する見込みであり,計画的な更新を図っていく必要がある。
全体総括
水洗化率の向上のため,未接続世帯の実態の把握,啓発等により接続推進を図る。経費回収率は100%を超えているとはいえ,安定した経営には課題が多い。引き続き,基準外繰入の解消のため,使用料の改定による収入の確保や維持管理経費の節約などに努める。企業債残高が多額で,将来的な負担が大きい。現在も整備が進められている中,借入による企業債残高もさらに増加する見込みである。将来的な負担の増大が予想されるため,引き続き経費の節約など,経営健全化に努める。管渠の老朽化率等は低いものの,今後,経年による修繕・更新費用の増大も見込まれるため,計画的な修繕・更新に取り組む。平成28年度中に経営戦略を策定し,公表する。