地域において担っている役割
当院は地域の中核拠点病院として、当該圏域の医療を守るため、救急・小児・周産期・精神及び災害医療等の不採算部門を担っている。また、基幹となる病院として、「質の高いがん医療」が受けられるように和歌山県が独自に指定する「がん診療連携推進病院」に、若い医師の育成・指導の場として「臨床研修指定病院」に、地域のあらゆる災害に対応する為「災害拠点病院」に、平成29年度からは、へき地・過疎地域の継続的かつ安定的な医療の確保に貢献する為「へき地医療拠点病院」に、それぞれ指定され役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率では、近年90%前後を推移しており、類似病院平均値と比較しても約10%程度の差が生じている。また、③累積欠損金比率についても年々増加し、平成29年度には90%を超えた為、抜本的な経営改革を行っていく必要性がある。②医業収支比率についても、類似病院平均値を下回っており、厳しい状況である。ここ数年82%台で推移しており、収支のバランスを見直す必要がある。④⑤⑥平成29年度途中より休床病床が再開し、平均値に近い数値まで利用率が改善した。一方で、入院・外来患者1人1日当たりの収益が前年とほぼ変わらず、平均値とも乖離がある為、入院・外来ともに患者1人1日あたりの収益増収に向け内容を精査する必要がある。⑦⑧平均値よりも高く、人員配置の見直し、委託化や単価の見直しを考える必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似病院の平均値とほぼ同じであることから、今後も維持できるようにしたい。しかし②器械備品減価償却率は毎年平均値を上回っており、器械備品については老朽化が進んでいると考えられる。そのため、今後適切な更新計画に取り組んでいきたい。③1床あたり有形固定資産については、平均値を下回っており、かつ低すぎないので良い状況と言える。
全体総括
人口減少など昨今の病院を取り巻く環境は、年々厳しい状況になり医業収入の減少が見込まれている。当院は、経常収支比率が100%未満で、累積欠損金比率も高く、経営状況が非常に厳しい。また、医業収支比率も低く、他会計からの繰入金に依存せざるを得ない状況である。しかし、地域の中核病院かつ唯一の公立病院であり、不採算部門を担っていく必要があるので、繰出基準に基づき対応していく。大幅な改革が必要となっている。また上記でも記述したように、平成29年度途中より休床病床が再開されたことにより今後入院収益の増加が見込まれる反面、人件費や材料費等の増加が考えられる為、収支のバランスを調整することが一層重要となる。