公立八鹿病院組合：公立八鹿病院

地域において担っている役割

西南但馬地域の中核病院として、また養父市で唯一の一般病院として、急性期から慢性期、在宅医療までシームレスな医療を提供している。また公立病院として、高度医療・特殊医療・不採算医療を担い、一般病床の他に、回復期リハビリテーション・地域包括ケア・療養・緩和ケアの病床を有する、ケアミックス型の病院である。地域に欠かせない救急医療については、二次救急までを24時間365日体制で確保し、不採算地区において中核的な病院の役割を担っている。新型コロナウイルス感染症協力医療機関として病床を確保しており、軽症・中等症患者を受け入れている。

経営の健全性・効率性について

当院はケアミックス型病院であるため入院単価が低く、高い病床利用率を維持することで収益を確保する必要があるが、医師不足により低い病床利用率が続いている。また、R2年度は新型コロナ感染症への対応のため、一般診療を一部制限しており、病床利用率が低下する結果となった。費用の面では、給与費比率が高く、材料費比率が低いというケアミックス型病院の特徴を示している。材料費の抑制による費用削減効果は限定的であるため、経営の健全化には、給与費や委託費等の抑制対策が不可欠である。医業収支が悪化した一方で経常収支が改善しているが、他会計繰入金の増加によるものである。

老朽化の状況について

病院の建替えはH19年度に完了しているが、電気・空調・給排水設備などは耐用年数を迎えつつある。また、付帯施設である看護学校・老人保健施設はいずれも建築後30年が近づいており、近年は、全国平均との比較でも老朽化が進んでいる状態にあることがわかる。医療機器については、病院建替時に導入した機器の更新を進めており、近年はCTやMRI、リニアックといった高額機器のほか、R2年度には電子カルテを更新し、機器の老朽化に対応している。一方で、減価償却費の増加が課題である。なお、当院の1床あたり有形固定資産には、付帯施設である看護学校・老人保健施設分も含まれるため、全国平均と比較し高額となっている。

全体総括

医師不足を要因とする患者数の減少により収益が減少している一方で、職員数には大きな変化がなく、給与費が収益を圧迫する状況にある。しかし、職員数の削減は、感染症等、不測の事態への対応を困難にするだけでなく、現在の方針である、医師確保による医療提供体制の充実も困難となるため、直ちに実施することは難しい。当面は、医療提供体制の充実により患者増加を図るほか、地域に必要とされる役割を担うために繰出基準どおりの繰入れをしていただけるよう働きかけ、健全経営を目指すこととしている。ただし、当院は高齢化の先進地域にあり、高齢者人口も減少局面に入りつつあることから、今後は医療需要の減少を見込んだ職員配置や、医療機能・規模の見直しを段階的に実施して行く必要がある。