地域において担っている役割
地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院(国指定)としての役割のほか、市唯一の公立病院として、救急医療、小児・周産期医療、災害医療などの政策医療を担っている。また、糖尿病、心臓病、脳卒中などの生活習慣病への医療ニーズが高まっていることから、市保健所等と連携しながら急性期医療を提供している。さらに、新型コロナウイルス感染症に対しても、市保健所等の関係機関と連携し、受入れ病床確保や検査体制の整備、ワクチン接種など、公立病院として積極的に対応に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、入院患者の減少など、収益が大きく落ち込んだため、赤字決算となったが、これまでの資金剰余額により、健全経営が維持できている。ただ、新型コロナウイルス感染患者を受け入れる病床確保のため、入院制限を行ったことから、緊急性の高い検査や手術などの高度医療提供の割合が増えたことや、紹介状のない初診患者の制限などを行ったことにより、入院及び外来の患者1日1人あたりの診療単価はともに増加した。
老朽化の状況について
平成16年に現在の場所に病院を移転しており、有形固定資産減価償却率は高くなってきているが、令和元年度から計画的に大規模修繕等を実施している。また、器械備品減価償却率については、医療機器の更新に優先順位を付けて順次更新しているため、平均値を下回っている。なお、1床当たり有形固定資産については、免震構造を採用した施設の建築コストや高度医療を提供するための積極的な設備投資により、類似病院平均値及び全国平均を上回っている。
全体総括
令和元年度末から続いている新型コロナウイルス等の感染症の影響により、入院・外来ともに患者数が大きく減少したため、昨年度に引き続き赤字決算となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が今後も続くなか、公立病院として市保健所と連携し、感染症対応に積極的に取り組むとともに、収益の確保とコスト縮減の徹底等により、一定水準の資金を確保できる経営を進めていく必要があると考えている。