地域において担っている役割
国指定の地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院としての役割のほか、市唯一の公立病院として救急医療、周産期医療、小児医療などの政策医療を担っている。また、脳卒中や急性心筋梗塞など地域において医療ニーズが高まっている疾患への対応の充実を図りながら急性期病院としての役割も果たしている。
経営の健全性・効率性について
医業収支比率は100%を下回っているが経常収支比率は100%を超え、累積欠損金もないため、健全経営を維持している。平成29年度においては、これまでの継続した職員数確保の取り組みにより、医師数が増加したことによる収益の確保と全身麻酔による手術件数や循環器系疾患の検査・治療の増加による診療単価の上昇等が要因で黒字決算となった。しかし、依然として材料費対医業収益比率は平均値を上回っている。これは高額な薬品(抗がん剤等)の使用増が要因である。
老朽化の状況について
平成16年に現在地に病院を移転して15年が経過し施設の老朽化が進んでいることから、有形固定資産減価償却率が上昇傾向にあり、類似病院平均値を上回っている。器械備品減価償却率については、医療機器(特に高度医療機器)を順次更新しているため、類似病院平均値を下回っている。また、1床当たり有形固定資産については、免震構造を採用した施設の建築コストや高度医療を提供するための積極的な設備投資により、類似病院平均値を上回っている。
全体総括
7年連続の黒字決算を達成しており、経営状況は安定している。しかし、消費税の増税や新薬による薬品費の上昇、さらには老朽化する施設の大規模修繕など、費用の大幅な増加が想定される。そのため、健全経営を維持するためには更なる収益確保と費用削減が必要なため、「八尾市立病院経営計画(Ver.Ⅲ)」に基づき、取り組みを進め経営改善に努める必要がある。