地域において担っている役割
本院は、幅広い疾患に対して効率的な医療を提供する急性期病院の役割を担うとともに、北河内唯一の市立病院として、救急医療や災害時医療、小児・周産期医療などの政策的な医療を担っている。また、第2種感染症指定医療機関として多くの新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるなど地域の感染症医療の中心的な役割を担っている。令和3年3月には「地域医療支援病院」の承認を受け、地域の診療所(かかりつけ医)との医療連携の中核を担う病院としても取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
医業収支については、医業収益で新型コロナウイルス感染症の影響により入院外来患者数が大きく減少し約3億3,798万円減の約82億6,331万円となった。医業費用はコロナ対応にかかる診療材料などの材料費や、感染症対応従事者への手当支給による給与費の増加などにより約3億4,907万円増の約99億2,722万円となった。これにより医業収支は、昨年度から約6億8,705万円落ち込み、約16億6,391万円の支出超過となり、医業収支比率は大幅に減少している。しかしながら経常収支については、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ病床確保のための国や府からの補助金が増加したことにより医業外収益が約13億6,039万円増加し、経常収支は約6億912万円の収入超過となり、経常収支比率は大きく改善している。入院及び外来患者1人1日当たり収益については、患者数は減少したもの専門性の高い治療を必要とする患者の割合やコロナ関連の検査などが増えたことで、診療単価は増加している。
老朽化の状況について
当院は平成26年9月に開院し、令和2年度で開院7年目となった。現在のところ施設に大きな老朽化は見られないが、24時間稼働していることから、施設更新計画を踏まえ、現状に合わせて計画的に修繕・改修等を行っていく必要がある。有形固定資産減価償却率については、新病院建設に係る建物減価償却費の未償却額が多いことから、類似病院平均値を大きく下回っている器械備品減価償却率については、新病院開院時に購入した医療機器の多くが償却終了したことから類似病院平均と近似している。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の感染状況は未だ見通せず、来院患者数の回復や国庫補助についても不透明な状況にあるが、引き続き、第2種感染症指定医療機関としての責務を果たすべく新型コロナウイルス感染症への対応を行うとともに、通常診療との両立を図っていく。医業収支の改善に向け、引き続き救急搬送患者の受入れ促進や、地域医療支援病院の承認を契機として地域連携の一層の強化を図ることで紹介率・逆紹介率の向上をさせ医業収益の増加に努める。また、令和2年7月に新たに設置した「下肢機能再建センター」や令和元年度に本格稼働させた「消化器センター」の集患に向けた地域の診療所へ積極的な情報発信などにより、これらを柱とする収益構造の構築を図り、病床利用率の向上に努める。