地域において担っている役割
当法人は平成21年10月に地方独立行政法人化し、平成24年4月より桑名東・西・南医療センターの3センター体制にて運営を行っている。平成30年度には新病院が完成し3センターを集約する計画を進めている。その中で桑名東医療センターは、地域の中核病院として二次救急医療を担い、平成28年9月には、今までこの地域になかったNICUを開設し、小児・周産期医療にも対応してきた。また研修基幹病院として初期・後期研修にも注力し、多くの若手医師の教育機関としての役割も果たしている。
経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は96.6%となり、過年度から改善傾向ではあるがグラフ内の平均値を下回る状況となっている。「医業収益比率」においては91.1%と平均値を上回ってはいるものの収益不足は否めない状況であり、「病床利用率」向上など増収対策が必要である。「1人1日当たり収益」において入院は平均値並みとなり、外来は平均値を下回る状況である。過年度対比では上昇傾向ではあるが、診療内容に大きな変更がないため、大幅な上昇は見られなかった。新病院では特に「入院患者1人1日当たり収益」があがるよう加算点取得に向けて準備を進めたい。「職員給与費対医業収益比率」については、59.8%と平均値を上回っているが、平成30年に予定する新病院開院に向けての医師・看護師確保を進めており、費用・比率共に上昇傾向となっている。「材料費比対医業収益率」については、概ね20%台にて推移している。
老朽化の状況について
平成24年度の独法化時に建物等の償却が旧民間医療法人にて進んだ状態で資産計上を行っている事から「1床当たり有形固定資産」は極端に低くなっている。機械備品は28年度は30年度の新病院統合を控え新規購入はほぼ行っておらず、既存機器の償却が進んでいる。建物を含む有形固定資産は実際には老朽化が進んでいるが、平成30年度の新病院統合を控え修繕や賃借等で対応を行っている。
全体総括
新病院開院を控え、医師等のスタッフは確保できつつあるが、現状の施設・医療機器にてその確保したスタッフをフル稼働できる状況になく、費用に対し収益があがらない状況にある。また平成30年度の開院まではその状況が継続されるため、限られた資源の中で収支が改善できるよう、病床利用率の向上及び費用の節減に努める必要がある。