地域において担っている役割
市内の他の医療機関等と緊密な連携を図り、症状が軽い身近な医療は地域の診療所が担い、重篤な急性期・高度医療を当院が担っている。総合病院の利点を活かした専門性を有する質の高い高度医療を提供する医療機関として東濃東部地域の中核病院として役割を果たしている。また、平成28年度に策定した『新公立病院改革プラン』に沿って、同市内の坂下病院と機能分担を行っていく。
経営の健全性・効率性について
①医業収益、医業外収益とも前年度より微増であったが、給与費の大幅な増加により経常損失となった。②入院患者数の増加の影響もあり、医業収益は、増加したが、労基署の是正勧告及び、坂下病院からの職員の異動による給与費の増加の影響もあり、医業損失となった。③累積欠損金比率は、依然、高い数値であり、引き続き経営の効率性を高めていく必要がある。④病床利用率については、増加傾向にあるが、70%未満であり、新公立病院改革プランに沿って市内にある2病院のあり方を見直し効率性を高めていく必要がある。⑤手術などの高度医療の提供が減少しており、診療単価が減少傾向にある。⑥周辺に地域医療機関が多くなく、軽症での受診者が多い影響もあり、診療単価が平均値より大幅に少なくなっている。⑦労基署の是正勧告により、過去2年分の時間外手当不足分を支給。また、坂下病院から22名の医療職の異動があり、給与費が増加した。⑧業者との価格交渉の影響もあり年間の材料費が前年度より減少した。その結果、対医業収益比率も減少となった。
老朽化の状況について
①平成元年に竣工した当院は、特に建物附属設備や機械および装置の老朽化が著しく、今後計画的な施設全体の更新が必要である。②機械備品については、高い償却率となっているが、医療機器の検討委員会を設け、計画的に更新を行っている。③過大投資にならないよう、備品購入や施設改修を計画的に行っている。
全体総括
新公立病院改革プランに伴い、市内2つの公立病院の機能分担を計画し、坂下病院の機能の一部を当院に集約していく計画である。その中でも、平成30年度中に当院の休床病棟を再稼動するために、職員を坂下病院から当院に順次異動させている。その影響もあり平成29年度は、給与費が大きく増加し医業損失が発生する原因の一つとなった。平成30年度病棟の再稼動に伴った患者数の増、医業収益の増が見込まれる。施設の老朽化が進んでおり、施設・機器の更新を計画的に行っていく必要があるが、患者数及び職員数増加に伴った駐車場不足が今後の大きな課題となっている。地域の中核病院として住民の期待に応えるよう引き続き、病院職員の資質の向上及び健全経営に努めていく。