地域において担っている役割
当院は、須高地域(須坂市・小布施町・高山村)の中核病院としての役割及び県内唯一の第一種感染症指定医療機関、結核指定医療機関、エイズ治療中核拠点病院としての責務を担っている。26の診療科のほか、内視鏡センターや専門外来等を設け、地域の保健・医療・福祉機関との連携のもと多面的な診療機能を発揮している。また、地域包括ケア病棟を有し、地域医療機関や介護施設等との連携を図り、地域包括ケアシステムの中核的役割を果たしている。さらに、人材育成研修機能として、スキルスラボを活用したシミュレーション研修や信州型総合医の育成、自治医科大学卒業医師などの臨床研修病院としての機能も果たしている。
経営の健全性・効率性について
平成29年度は、経常収支比率、医業収支比率ともに前年度を下回った。その要因としては、患者数の増加により医業収益が増加したが、費用の増加がそれを上回り、経常損益が悪化したことによるものである。病床利用率は入院患者数の増加によって上がり、診療単価は入院では減少したが外来は増加した。(入院単価の減:手術等の出来高収益の減、外来単価の増:外来化学療法や人工透析患者の増による)給与費比率は、診療体制充実のための医師確保等により増加した。(産婦人科、呼吸器感染症内科、循環器内科等)材料費比率は、高額薬剤及び手術件数増に伴い材料費が増加し、各年度推移でも徐々に増加傾向となっている。また平成29年7月に新棟を開設したことに伴う光熱水費の増加や施設の老朽化による修繕費の増加等、経費も大きく増加した。
老朽化の状況について
減価償却費は、電子カルテ及び高額医療機器の償還終了に伴い減少したが、建物建設から16年が経ち、多くの施設設備や医療機器において、経年劣化が進んでおり、耐用年数を超過しても更新できない状況が続き、故障や修理が増加している。今後、年数の経過と共にさらに老朽化が進行し、更新が必要な施設設備や医療機器の増加及び更新費用の増大が見込まれるが、施設運営及び診療継続に必要不可欠であるため、中長期的な更新計画を策定し、緊急度、優先度を精査した更新投資を行っていく必要がある。
全体総括
平成29年度は、入院・外来ともに患者数の増加により対前年度で医業収益が増加したが、常勤医師確保のための給与費の増や材料費及び経費の増など、費用の増加が大きく経常損益が悪化した。引き続き、地域の医療需要に応じた診療体制の充実を図り、医療の質の向上に努めるとともに、患者数の増加及び病床利用率の向上、診療単価の引き上げによる収益増加と費用節減によって、経営改善を図るため、全職員で取り組みを行っていく。また、施設設備・医療機器は、導入から16年を経過することから、今後さらに老朽化が進行し、更新時期が重なることが考えられる。診療機能を維持していくために、設備・機器の状態を把握して緊急度、優先度の精査を行い、費用を平準化した更新投資計画を策定し、整備を行っていく。