経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は前年度より0.25%下がったがほぼ100%に近い数値となっている。経費回収率が昨年度よりも20%高くなり改善傾向にはあるが、繰入金の額が減少傾向にはあっても依然として繰入金に依存した経営である。②企業債残高対事業規模比率については、前年度比115%となっているが一般会計負担額の算出額が減少したことによるもの。③経費回収率は改善されている。大規模更新工事がないこと、地方債の償還がピークを過ぎ、減少傾向にあることから改善されたものと思われる。④汚水処理原価は、地方債の償還がピークを過ぎ、減少傾向にあることから前年度よりも低くなり改善されたが、全国平均値からみると処理コストがかかっている。地理的要因により構造上汚水処理費が高くなる傾向にあり、全国平均に近づけることは困難。平成28年度は長寿命化工事を実施しているため今後汚水処理原価は上がってくるものと思われる。⑤施設利用率は減少傾向にあり、前年度よりも人口が4%減少したことに要因があるものと思われる。公共下水は計画当時の人口より25%減少。施設利用率が低水準のままでは投資経費を回収できない。⑥水洗化率は少しずつ改善傾向にありようやく70%に到達したところであるが、全国平均、類似団体平均を下回っている。人口減少が進む中、施設利用率を改善するには下水道未加入世帯への加入を促し、水洗化率を向上させる必要があり、水質保全の観点からも水洗化率100%を目指す必要がある。
老朽化の状況について
・平成5年に供用開始の施設で、管路施行及び処理施設躯体部については22年しか経過していないため更新計画はないが、機械及び電気設備は整備計画に基づき老朽化施設の更新を行っている。平成28年度には長寿命化工事を実施。平成29年度に汚水処理構想を策定、ストックマネジメント基本計画を策定する。今後はこの計画に基づいて更新工事を行っていく。
全体総括
①既整備地区の人口減少は著しく、今後も施設利用率は漸減する。改善傾向にある経費回収率は、今後老朽設備の更新等により悪化するものと思われ、現状の料金体系を維持したままであると一般会計からの操出金への依存度が高くなる。②使用料収入の確保だけではなく水質保全の観点からも水洗化率100%をめざし、水洗化率向上を図る必要がある。③地勢的条件により汚水処理コストが高くなり一般会計からの繰入金はやむを得ないところもあるが、受益者負担の原則から、一般会計からの繰入金に依存するのではなく、適正な料金設定、汚水処理費の削減が必要であることから平成29年度に格差のあった料金体系を統一する予定であり、料金体系も今後見直していく予定である。④現在の施設規模が妥当かどうかの見直しを図る必要があること、施設が法定耐用年数を迎える時期に必要な管渠の更新が行えるよう平成29年度に汚水処理構想の策定・ストックマネジメント計画の策定により投資計画を立てる予定である。