地域において担っている役割
当院は、「災害拠点病院」に指定されており、災害時に対応するため、病棟は免震構造で複数の異なるエネルギー源による自家発電が可能となっており、また、食料等の備蓄や災害派遣医療チーム(DMAT)を組織している。また、「第二種感染症指定医療機関」として、新型感染症等へ対応するため、感染症病棟を整備し、専門スタッフの育成等を行うなどしている。様々な角度から地域の安全を確保するとともに、医療の提供を行う役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」・「医業収支比率」は、病棟の整備事業、それに伴う医療機器などの更新により臨時的費用が発生したことにより全国平均を下回る結果になっている。「累積欠損金比率」は、地方公営企業法の会計基準の見直しにより、各種引当金の計上が義務付けられ、当院では、26年度に退職給付引当金等の一括計上を行ったことにより累積欠損金が25年度以前と比較し倍増した。「入院患者1人1日当たりの収益」は、急性期のみならず回復期リハビリ・地域包括ケアも含むことから全国平均を下回っているが、「外来患者1人1日当たり収益」では高額な薬剤を使用する患者が増加する傾向にあり、全国平均を上回っている。現在、入院収益の改善に向けて、地域医療機関との連携を更に強化し、紹介患者の増加を図るべく努力している。
老朽化の状況について
主に病棟部分の建替えと、それに伴う機械備品などの更新を行ったため、有形固定資産減価償却率及び機械備品減価償却率は平成26年度を境に大幅に減少した一方、1床当たり有形固定資産は増加している。このように病棟部分の建替えにより、全体での減価償却率は全国平均を下回ったが、建替えを行った建物以外の施設も使用しており、経年劣化による修繕などの費用が発生することが予想される。機械備品などの更新計画では、費用の動向を見据えて、地域医療のニーズに合った効率的かつ効果的な設備投資を継続していく。
全体総括
公立病院として、地域住民が必要とする様々な医療サービスを適切に提供するとともに、企業としての経済性を発揮すべく、病床利用率、経常収支比率などの経営指標を改善させ健全な運営を行っていく必要がある。今後も地域の基幹病院として、地域医療の充実を目指し、地域の医療機関との連携を更に強化し、回復期・地域包括ケアを活用することにより、在宅復帰支援なども含めた地域完結型の医療の推進を図っていく。