経営の健全性・効率性について
公共下水道事業については、下水道使用料収入にて業務に係る経費や施設の整備・維持管理に必要な経費を賄う、独立採算の原則のもと運営されています。①収益的収支比率について、昨年度より比率が悪くなっておりますが、これは地方公営企業法適用企業への移行前年度であったため、3月をもって打切り決算を行った結果です。このことにより、1ヶ月分の下水道使用料が3月までには収入できておらず、特例的収入(未収金)という形で次年度の収入となっています。上記のことから、下水道使用料収入が昨年度より1ヶ月分少ないことが比率悪化の原因となっています。現在の経費回収率については、左図⑤のとおり、増加傾向で推移しており、平成28年度までは平均値を上回っておりました。しかし、本年度については、企業会計移行前年度のため打切決算により、使用料収入が昨年度より減少しました。そのため、昨年度に比べて比率が悪くなっています。現状としては、新たに供用開始となった地区は比較的新しい住宅が多く、合併浄化槽の状態も良好であることから、下水道接続の理解を得られにくい状態となっています。また、本町ではより多くの住民に下水道を使用していただくために、下水道事業計画区域の拡大を行っています。しかし、管渠の整備には地方債や使用料収入等を主に充てており、左図④のとおり、債務残高は下水道事業開始当初と比べ、除々に減少傾向にはありますが、新たな事業計画区域の整備を行っているため、債務残高が再度増加しています。今後の対策としては、使用料収入の底上げを行うため、下水道の利便性や快適性を住民に理解していただき、下水道の接続を推進していくことが必要になります。また、地方債についても、適切な資金運用を行い、債務の減少に努めていく必要があります。
老朽化の状況について
本町の公共下水道事業は法非適用企業であり、減価償却を行っておらず、管渠の老朽化率について算定しておりません。しかし、下水道管布設当初が昭和57年であることから、管渠の老朽化は進行しています。上記のことについて、本町では不明水対策調査及びそれに基づいた管内補修工事を行っております。不明水対策調査ではTVカメラ調査等を行い、異常・損傷が見つかった箇所について補修を行っております。今後の対策としては、管渠の耐用年数に伴い、ストックマネジメント計画を策定し、管渠の効率的な維持管理に努めていく必要があります。
全体総括
節水意識の高まりや節水家電の普及により、料金収入が停滞しているため、供用開始となっている地区の下水道接続を推進し、使用料収入を増加させることが必要になってくると考えられます。今後の対策として、下水道接続の推進、また、公共下水道区域に関しては、拡大に伴い、新たに供用開始となる地区の選定、検討を実施していくことが必要となります。また、管渠の整備に合わせ、当初整備した地区の老朽化を早期に発見し対応できるよう、ストックマネジメント計画を策定し、管渠の効率的維持管理に努めていく必要があると考えられます。