地域において担っている役割
地域の急性期中核病院として、断らない救急患者の受入れとスムーズなベッドコントロールの運営を図った。地域連携強化として小山市近郊地域医療連携協議会の定期開催と、営業活動による「とちまるネット」導入を連携医療機関へ広め、更なる地域医療ネットワーク形成を促進した結果、情報提供件数が飛躍的に伸びた。これにより入退院や紹介率・逆紹介率増が見られ、良好な病病連携の関係と明確な役割分担が出来た。また地域住民の健康増進に応えるため、昨年に引き続き病院たよりの季刊発行をはじめ、人間ドックや健診項目の見直し、市民講座や出前講座等啓蒙活動を行なった。
経営の健全性・効率性について
外来収益以外はほぼ全ての指標で平均値よりも良好な数値となっており、収益・高度医療の提供増と費用の抑制を見直した結果であると考えている。入院収益については重症・救急患者の積極的受入れに伴う診療レベルの向上、高度医療・急性期医療の提供と病床稼働率の安定的な運営、地域包括ケア病棟の有効利用、連携病院とのスムーズな入退院を構築した。外来収益については平均値を下回っているが、病診連携により紹介率及び地域住民を「かかりつけ医」へ戻す逆紹介率の向上と、医師の外来診療負担軽減を促進した結果である。費用については人事評価制度の確立による給与の見直しや派遣・委託業者を活用し職員増に伴う人件費増を抑制した。薬品についてはジェネリック採用品目増や仕入業者の絞り込みとベンチマーク交渉による値引率引き上げの実施、医療材料については共同購買事業参加の介入へとシフトし費用の改善、更に金額ベースでの昨年度比減も実現した。
老朽化の状況について
建物・医療機器の老朽化に伴い、平成28年1月に新病院移転と同時に院内保育所の新規建設、医療機器・システムの新規更新購入を行なった。新たな減価償却の発生は平成27年度から始まった。器械備品については、将来の減価償却費の負担をシミュレーションしながら毎年の投資額を決めている。今後も建物等の大規模な改修や増設、器械備品の更新が無い限り平均値を上回ることは無いと考える。
全体総括
昨年度より新病院建設・医療機器整備に係る減価償却費の満額経費化に加え、多額の長期借入金の元利償還金支払が本格的となり残念ながら医業収支比率100%に満たない結果となった。今後は医業収支比率で100%を超える体質作りを目指したい。今年度の課題を「業務改革」「ベッドコントロール」「地域連携」とし、引き続き救急患者・紹介患者の積極的な受入れ、患者満足度向上、施設環境整備の強化等地域から安定的な支持を得られる病院作りに取り組んだ。また幹部職員による病院経営改革推進会議の定期開催をはじめとする全病院的な問題解決、新病院新築移転により得た資産の有効活用、地域医療中核病院の使命を果たすべく高度な医療提供に努めた。さらに医療ネットワークを形成しながら病院経営安定化に邁進した結果、平成25年度の独法化後5年連続の黒字計上を達成することが出来た。