経営の健全性・効率性について
当町の水洗化率は、類似団体に比して低水準である事は否めない。供用開始以来18年経過し普及促進に努めているものの、近年の接続件数は微増の状況である。今後ともより一層の接続率向上を目指し、収益的収支比率の改善につなげたい。企業債残高対事業規模比率については、現状では類似団体に比して高水準であるが、全体計画の見直しで新たな建設を凍結することで、徐々に改善することが見込まれる。高資本費対策として一般会計からの繰入金で賄っている部分もあるが、自主的な収益力を上げるために、接続率の向上と将来的な料金の改定を視野に入れ、経営の健全性を向上させたい。近年は、経営の効率化や処理場の管理方法の見直し等により汚水処理にかかる費用を低く抑え経費回収率の増加に繋げている。当面は、接続率の向上で料金収入を得ていくが、一定期間経過後は人口減少による料金収入の減少が見込まれるため、使用料改定についての検討も進めていく必要がある。現状の施設利用率については向上を図ることはもちろんであるものの、今後とも安定的で効率的な事業運営を続けていく為の余力とも捉えている。
老朽化の状況について
初期の供用開始から20年弱が経過しているが、特に老朽化による不具合は生じていない。しかし今後とも適切な点検・修繕等を実施するためストックマネジメント計画を策定し国からの財政支援を受けながら、長期的に施設を維持していくことが必要である。
全体総括
下水道事業は供用開始から20年弱であるが、処理区域の拡大は一段落し、安定的な事業運営に向けて経営の転換期にある。今後は経営戦略を策定し中期的な収支計画のもと、処理施設の老朽化や施設の最適化への対応を進めていくため、国からの財政的な支援を受けられる方法で更新事業を実施していく必要がある。一方で歳入は高齢化や人口減少が進み、将来的に処理水量の減少による使用料収入の減収で収益的収支比率の悪化が見込まれ、一般会計からの繰入金にも限界があることから、より一層の効率的な事業運営を図り、さらには料金改定も視野に入れていくことになる。事業の性格上、持続可能で安定的な経営が求められるが、先行きは厳しいものがあるため、収益に繋がる共同化・広域化又は新技術の導入について積極的に検討していくこととする。