経営の健全性・効率性について
当町の下水道事業は全国の類似団体に比べて、企業債残高対事業規模比率及び経費回収率、汚水処理原価が平均値より高い数値となっております。企業債の残高対事業規模についての、数値が高い要因としては、下水道建設に係る費用に対し、使用料収益が上がっていないこと考えられます。建設費用が他団体より高い理由としては、事業区域に河川が2本あり高低差も大きいという地理的な要因により投資額が嵩んだことが考えられます。また、料金設定も利用者の負担程度としては妥当と考えておりますが、経営健全化の観点からは再検討の余地があると考えます。尚、起債残高における償還のピークが過ぎ、今後の比率においては低くなることが予想されます。次に経費回収率と汚水処理原価についてですが、両方とも汚水処理費用が他団体より高い事が考えられます。その要因としては管渠の補修費用として多額の金額が掛かる事が考えられ、当町は積雪寒冷地に位置し、除雪した際の人孔や公共汚水桝の破損、道路の凍上による路面の損傷から毎年数百万円の補修費用が費消しております。今後はこの補修費を含め処理場の委託費など高額の費用が懸念され、経費の圧縮、回収率向上には料金収入も要因と重要なことであり適正な価格の検討が必要と思われる。
老朽化の状況について
下水道管渠の耐用年数は、通常50年といわれており、当町は平成11年度より供用開始しているため、管渠の老朽化については当面問題ないと思われますが、汚水処理に係る各種装置に関しては、耐用年数が10年~20年の物が多く、既に供用開始より15年以上経過しており、供用開始より使用している装置については故障等も多くなっており、更新の時期に差し掛かっていると思われます。
全体総括
当町下水道事業については、全国の類似団体の平均値よりも下回り、経営状況が悪い傾向が出ております。要因は、他団体に比べ経費となる金額、企業債の残高が多いことなどであり、今後、より一層の経営努力を求められるものがありますが、全ての項目に関係しているのが営業収益(料金収入)であります。下水道使用者への負担の程度としては妥当な料金設定と考えておりましたが、経営健全化の観点からは再考の余地があると考えられます。老朽化状況については、管渠より汚水処理設備が更新の時期であり、今後は長寿命化事業などにより老朽設備に係る更新を行い、併せて費用の平準化を図っていくことも課題になります。