経営の健全性・効率性について
総収益で総費用と地方債償還金を賄えているかを表す「収益的収支比率」は100%で収支均衡となりますが現状は75%を推移しています。地方債償還金が不足する25%を一般会計繰入金により補填している状況です。使用料で回収すべき経費を賄えているかを表す「経費回収率」は84.43%で全国平均より12%低く、類似団体より15%高い中間の水準になっています。有収水量1㎥あたりの汚水処理費用(汚水資本費・汚水維持管理費)を表す「汚水処理原価」は、191.12円で全国平均より49円高く、類似団体より58円低い中間値になっています。料金収入に対する企業債残高の割合により企業債残高の規模を表す「企業債残高対事業規模比率」は、微減の傾向でありますが1,968.44%と全国平均の2.5倍、類似団体の1.5倍と非常に高い水準になっています。これは投資の回収が進んでいないため、将来負担が過大になることを示し、投資規模に見合った使用料水準にないことが原因と考えられます。施設の効率性を表す「施設利用率」は地下水量や観光シーズンの変動はあるものの、年間の平均値では60%の稼働率に止まり、全国平均と比べ35%低く、類似団体とは同水準であり、有収水量の減少傾向によるものと考えます。水質保全の効果や施設の効率性を表す「水洗化率」は91.30%で増加傾向で推移し、全国平均に近づいています。これは水洗化の啓蒙啓発活動や住宅リフォーム助成等の普及促進対策を進めてきた成果が表れています。
老朽化の状況について
現状の管渠施設において、法定耐用年数を経過している管渠は存在しませんが、設置から30年以上が経過し、部分的に劣化が進行している管渠もあることから、日常の点検修理等により適正な維持管理を行うとともにこれから増大する老朽管渠に対しては、長寿命化対策の検討が必要になります。
全体総括
現在の経営状態は、維持管理費用の全部と資本費の一部を賄っていますがこれまでの投資による債務残高が非常に高い水準にあり、企業債償還金の一部を一般会計繰入金に依存している財務状況にあり、ることから、経営の健全性・効率性が確保できているとは言えません。また、施設についても水洗化率は向上しているものの、終末処理施設は遊休状態となる期間があり、施設が過大となっていることから事業計画の見直し等により効率性を検討する必要があります。今後は人口減少及び節水意識の高揚による有収水量の減少や老朽施設の対策等の課題が予想される中、持続可能なサービスを提供するため、経費回収率100%を基準とした使用料の改定、新規投資の厳選と地方債新規発行の制限により、収入の増加と費用の抑制を図り、経営の改善を進めていく必要があります。