地域において担っている役割
江別市における基幹的医療機関として、急性期医療を提供しているほか、二次医療圏外の南空知地区の医療需要にも応えている。公立病院として、救急・小児・周産期・精神医療を担っており、総合病院として重要な役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
平成25年度をピークに経営指標が悪化していたが、平成28年度はやや改善させることができた。DPC及び地域包括ケア病棟の導入により、特に患者1日当たり収益が高まることで、収益が伸びたことに加え、薬品や診療材料等の材料費の削減を強力に進めたことで費用が抑えることができた。一方で地域包括ケア病棟の運営のため職員配置を手厚くしたことで給与費が増えている状況にある。DPC及び地域包括ケア病棟を導入し、一定の効果はあったものの、結果として経常損失が発生し、累積欠損金は増加したことから、抜本的な経営改善には至っていない。
老朽化の状況について
建物施設は平成10年築であり、耐用年数の半分も経過していないことから、当面は計画的に修繕を行うことで維持していく。医療機器は経営状況から更新が遅れている状況であったが、ここ数年でようやく更新が進みつつある。平成28年度は高圧蒸気滅菌器やX線骨密度測定装置をはじめとする49品目を更新した。今後の経営状況を考慮しつつ必要最低限の更新を実施していく。また、整備機器の多くは更新によるものであることから、医療の高度化に対応する新規医療機器の整備について、順次検討していく必要がある。
全体総括
DPC及び地域包括ケア病棟を導入したことで、経営上一定の成果を挙げることができたが、収支改善のためには更なる効率化が求められている。また、在院日数の短期化により、延患者数が減少し、病床利用率が低下していることから、新患の獲得が課題であり、特に他医療機関からの紹介患者を積極的に獲得していかなければならない。急性期病院としての役割を担う一方で、地域包括ケア病棟という回復期機能を持つ病棟を導入し、地域住民の多様なニーズに応えることが可能となっており、診療収益の確保に向けて、急性期病棟と地域包括ケア病棟の効率的に運用していく必要がある。