地域において担っている役割
一般医療はもとより、救急医療、精神医療、高度医療、特殊医療、不採算医療、医療従事者への研修などの役割を担っている。また、離島であるという地理的条件を踏まえ、可能な限り地域完結型医療の提供体制の整備に努めており、周辺離島における救急搬送の受け入れも行っているほか、町立診療所の後方支援も行っている。平成27年11月には地域周産期母子医療センターに認定され、八重山医療圏における周産期医療の中核を担っている。4附属診療所を運営し、プライマリ・ケアを中心に地域に必要な医療を提供している。また、医療圏唯一の感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症患者の受入・治療・市町村・地域医療機関と連携した体制の確保及び感染拡大の防止等において中心的な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
新型コロナの感染拡大による患者数の減少による影響で入院収益・外来収益が大幅に減少し、医業収支比率は低下した。一方、国による空床確保料等のコロナ対応に伴う補助金により、医業外収益が増加したことで経常収支比率は増加した。累積欠損金比率及び職員給与費対医業収益比率は、医業収益の減少に伴い増加した。入院患者1人1日当たりの収益は、診療報酬改定による入院基本料加算の増、新設加算の取得、新型コロナの感染拡大による臨時的取扱等により上昇、外来患者1人1日当たりの収益については、指導管理料等の算定向上の取組や新型コロナによる診療報酬の臨時的取扱への対応を行い前年と同水準を維持した。
老朽化の状況について
H30年10月1日に新病院を開院し、建物の新築と器械備品の更新を行った。令和2年度は、旧病院建物及び機器を除却したことから有形固定資産減価償却率は減少し、器機備品減価償却率は微減となっている。1床当たり有形固定資産は、新病院移転の影響により上昇したが、令和2年度は旧病院建物の除却により減となっている。類似病医院平均値、全国平均と比較し、高い水準にある。
全体総括
■課題・コロナと非コロナの医療の両立を図る・高い水準にある職員給与費対医業収益比率・コロナ収束後に向けた取組■今後の対策と方向性1収益の確保・新型コロナに係る臨時的診療報酬への迅速な対応・診療単価の維持・向上(算定漏れ防止、在宅指導料等の算定向上)2費用の縮減・業務内容の見直し等による時間外勤務の縮減・委託契約の見直しによる予定価格・調達価格の適正化3その他の取組・各診療科の専門的な医師を必要・十分に確保することで「安心して、安定的に受けられる医療」を提供する。・提供する専門的医療を拡充していく。・地域包括ケアシステムの構築に向け、地域と連携し、地域完結型医療の提供体制の役割について検討を進める