地域において担っている役割
大阪府地域医療構想によれば、泉州医療圏では高度急性期及び回復期病床が不足している。平成30年4月にオープンした和泉市立総合医療センターでは高度急性期病床を8床、回復期病床を24床整備した。また、診療科については、本資料時点では18科であるが平成30年4月時点では32科まで増加し、地域医療の中核を担う総合病院にふさわしいものとなった。今後も、地域のニーズを踏まえた医療体制の構築に努める。
経営の健全性・効率性について
<経常収支・医業収支比率・病床利用率>本年度は、平成30年の病院新築移転のために購入した建物・医療機器13,624,570千円に対する控除対象外消費税が819,017千円に上ったため経常収支比率が低下した。しかし、本業である医業そのものは改善しているため、医業収支比率は1.1ポイント、病床利用率は3.9ポイント増加した。<累積欠損金>指定管理者の決算では、指定管理者制度適用後初となる黒字化(税引前利益41,334千円)を達成したが、上記のとおり市の病院事業会計では多額の控除対象外消費税を計上し、当年度純損失が993,940円となった。積年の欠損金と新病院建設による臨時的な費用増により同規模病院よりも高い数値となっている。
老朽化の状況について
<有形固定資産減価償却率>築60年を経過する旧病院施設を保有しているため、同規模病院より高い数値である。<器械備品減価償却率>医療機器(2,004,282千円)を購入したことから、大きく償却率が減少した。<1床当たり有形固定資産>上記のとおり、新病院移転に向けた設備投資を行ったため37百万円となった。他病院に勝るとも劣らぬ設備環境であるが、それでも同規模病院より安価であるのは、指定管理者の系列グループの購買力により、最新の機器をより安価に購入できているためと考えられる。
全体総括
指定管理者制度の適用、及び和泉市立総合医療センターの開院により、順調な病院運営となっている。平成29年度時点においては、病院移転前の入院制限等もあり病床利用率は74.9%にとどまったが、平成30年度9ヶ月間(4-12月)の1日あたり入院患者数は296人、病床利用率で96.4%となった。固定資産についても、平成30~32年にかけて、移転に伴い不要となった償却資産を除却する予定であるため、減価償却率等についてもさらなる低下が見込まれる。今後は、職員の確保や医療機器の整備により、さらなる医療環境の向上をめざすべく、指定管理者との連携を図っていく。