地域において担っている役割
大阪府地域医療構想によれば、泉州医療圏では高度急性期病床及び回復期病床が不足している。平成30年4月にオープンした和泉市立総合医療センターでは高度急性期病床を8床、回復期病床を24床整備した。また、診療科については、本資料時点では18科であるが平成30年4月時点では32科まで増加し、地域医療の中核を担う総合病院にふさわしいものとなった。今後も、地域のニーズを踏まえた医療体制の構築に努める。
経営の健全性・効率性について
<経常収支比率>公設公営時は、医師不足等による経営悪化により、慢性的に経常収支比率は100%を下回っていた。これを打開すべく、平成26年度より指定管理者制度を導入し経営改善に取り組んだところ、平成26年より緩やかに改善している。新病院の開院した平成30年度からは病床利用率が90%を超えるまで増加し、経営も大幅に改善する見込みである。<累積欠損金>同様の理由から、ほぼ毎年累積欠損金を計上していた。平成26年度以降、指定管理者側では毎年経営状況が改善しているが、市の決算では毎年の減価償却費がそのまま純損失として計上されるため、今後も毎年度欠損金を計上する予定である。
老朽化の状況について
昭和38年に公立和泉病院として開院した市立病院は老朽化が激しく、一部耐震性を満たしていない棟もあったことから、指定管理者制度の導入と同時に新病院の建設を決定した。平成28年に建設に着手し、約2年間の準備期間を経て、平成30年4月に和泉市立総合医療センターが開院した。同センターは8階建の鉄筋コンクリート造(一部鉄骨)。免震構造、2回線受電、トリアージスペースの確保など、大規模災害時にも拠点となって医療機能を継続できる、災害に強い病院を目指した。減価償却率(有形固定資産及び機械備品)はいずれも平均より高い数値であり資産が老朽化していることを示しているが、上述のとおり建替えを行ったことと、20億円分の機器の更新を行ったことから、今後は低下していく予定である。
全体総括
指定管理者制度の適用、及び和泉市立総合医療センターの開院により、順調な病院運営となっている。平成28年度時点においては、許可病床307床に対し、病床利用率が71.0%と高くない数字であったものの、平成29年度、平成30年度と順調に患者数を伸ばし、平成30年8月時点の1日あたり入院患者数は292人(退院患者を含む)、病床利用率で95.1%となった。今後は、さらなる医師の増員を図り、医療機器も適切なタイミングで更新することで、安定した病院運営を行えるよう指定管理者との連携を図っていく。