地域において担っている役割
地域医療支援病院として、かかりつけ医を支援し、地域医療の充実と効率的な医療提供体制を確保するとともに、救急告示病院として、豊能医療圏における二次救急医療を担い、安全・安心な医療提供に貢献している。また、厚生労働省が指定する臨床研修病院として、医科及び歯科の研修医を受け入れ、指導及び研修を実施しており、さらには、大阪府がん診療拠点病院として、地域におけるがん医療の充実に寄与している。
経営の健全性・効率性について
従前から取り組んでいる経費削減に加えて、近年では収益性向上のため、診療単価の上昇をめざした結果、入院、外来ともに診療単価は上昇傾向にある。医業収支比率や経常収支比率は100%を下回ってはいるものの、上昇傾向にあり、収益性は向上しているものと分析している。一方で、収益性の向上と比例して材料費も増加傾向にあり、また、赤字決算が続いていることから累積欠損金比率も依然として高くなっている。なお、類似病院と比較して一般会計繰入金が少ないことから、医業収支比率で他病院を上回っていても経常収支比率では下回っている。職員給与費対医業収益比率については、平均値より低くなっているが、給与の特例減額による減少がその一因となっている。
老朽化の状況について
平成9年に現在の病院施設を建設し、法定耐用年数(39年)の約半分が経過していることから、近年の有形固定資産減価償却費率は60%を、機械備品減価償却率については70%を、それぞれ超えている。MRIやCT、リニアック、血管撮影装置といった高額医療機器を一通り保有し、地域医療における基幹病院として高度な医療を提供する体制を整えているため、1床当たり有形固定資産額は類似病院平均値よりも高くなっている。
全体総括
経常収支比率及び医業収支比率は上昇傾向にあり、収益性の改善が見られるものの、黒字化には至っておらず、また、累積欠損金比率も依然として高水準で推移していることから、中期経営計画に基づき、平成32年度までに経常収支での黒字化をめざす。基幹病院としての診療機能を維持していくために医療機器への投資は必要との認識であるが、一方で、老朽化している施設の更新を具体的に検討していく時期に入ってきており、今後は、投資のバランスを適切に判断することが必要となってくる。