経営の健全性・効率性について
①経常収支比率について平成26年度の下水道事業の経常収支比率89.76%及び経費回収率が62.68%と、企業債残高対事業規模比率の1499.48%の数値から、下水道の維持管理費用及び支払利息等の支出費用や地方債償還金の費用に対し、一般会計繰入金や下水道使用料をはじめとした料金収入のみでは賄えておらず、特に、管渠の維持や長寿命化対策を積極的に実施しているため、収入の多くを起債を財源としていることから、収益的収支率が100%を下回っている状態である。また、汚水処理原価の数値についても平成26年度は過去5年間で最も高い数値となっており、供用開始間もない地区の接続率が低いことや、工事での人件費の高騰や消費税の改正もあり、汚水処理に係る費用及び維持管理への費用が高騰している。このことから、現在実施している下水道事業の健全性や、効率性を改善する必要がある。現在、下水道処理区域内となっている下水道の未接続世帯については、接続を促進し、接続率(水洗化率)を向上させ、有収水量を増加させることや、維持管理費用の節約、また、地方公営企業の法適用を実施し、改めて経営状況を確認し、必要であれば下水道使用料の料金の見直しも検討する必要がある。現在、新規に下水道普及工事を実施して地区については、普及先の将来的な人口の増減や土地の利用状況、それに伴う下水道への需要や料金収入を考慮し、再度事業への見直しも検討が必要と考えられる。
老朽化の状況について
御嵩町の管渠の老朽化については平成8年度から下水道の供用開始を行っていることから、下水道の耐用年数である50年後、平成27年度時点からは約30年後には管渠の老朽化が進み、その対策が課題となっていくことから、基金を蓄えていくことが必要となる。また、一部の団地においては不明水が多く生じており有収率が特に低い状態となっている。このため、引き続き管更正を実施し、有収率を上げていくことに努める。
全体総括
御嵩町下水道事業については、現在設置されている管の長寿命化対策が積極的に実施され、これに伴い、工事に必要な費用を起債にて多く賄っていると考えられる。今後、地方公営企業会計に移行し、改めて経営状況を把握するうえで実施している事業や料金収入について再度検討していくことが必要である。また、下水道の有収水量を増加させ、料金収入の増加や維持管理費用の節約に努め、その中で引き続き可能な範囲で管の更新や長寿命化を実施することも必要がある。