経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は近年下降傾向にあり、本市の下水道使用料及び一般会計からの繰入金等の総収益で総費用と地方償還金等の費用を賄いきれていない状況であり、今回は5ポイント増となったが、近隣自治体と比較すると本市はほぼ下回っている状況である。「企業債残高対事業規模比率」については、平成元年から現在も下水道整備を行っており、毎年の整備に投資しているため、企業債残高は減りにくく、今後増加傾向が続くものと考えられる。「経費回収率」ついては、57.81%と昨年より上昇したが、類似団体平均値と比べると下回っており、汚水処理に係る費用が使用料以外の収入により賄われている状況がみられる。「汚水処理原価」については、類似団体平均と比較すると下回っており、近隣自治体と比較すると、拮抗している状況である。これは、ほぼ同時期に供用開始しており、接続率も同程度であることが要因であると考えられる。「水洗化率」は平成27年度の89.41%と類似団体平均や近隣自治体と比べて高い率となっている。近年整備を終了した地区の下水道への接続を推進し、更なる率の向上とともに適正な汚水処理と使用料収入増に取り組む。
老朽化の状況について
本市の下水道管は平成元年から整備を始め、市内の一部が平成8年から供用開始したものであり、現在、管路の老朽化が心配される個所等は無い為、今後、維持管理を行って行く中で、長寿命化計画を立てて行く必要がある。
全体総括
本市の下水道は平成元年から整備が始まり、全体計画の6割程の整備率となっている。整備済みの区域については、順次接続件数は多くなって来ているが、収益的収支比率及び経費回収率をみても現在の下水道事業における経営は健全とは言えない状況である。更なる接続による使用料金の収入増、類似団体平均や近隣自治体との比較・分析による料金水準の見直し等を行い、水洗化率の向上及び経営健全化を図って行く必要がある。