経営の健全性・効率性について
年度毎の収支をみる「収益的収支比率」は近年下降傾向にあり、本市の下水道使用料金及び一般会計からの繰入金等の総収益で総費用と地方償還金等の費用を賄いきれていない状況であり、流域関連市町をみても本市は若干下回っている状況である。料金収入に対する企業残高の割合の「企業債残高対事業規模比率」については、平成元年から現在も下水道整備を行っており、毎年の整備に投資しているため、残高が減りにくいと考えらるので、今後もこの傾向が続くと考えられる。また、下水道使用料で回収すべき経費を、どの程度使用料で賄えているかを表した「経費回収率」に付いては、40ポイント台と、流域関連市町の中でも低い水準となっており、汚水処理に係る費用が使用料以外の収入により賄われている状況である。有収水量1m3あたりの汚水処理に要した費用を表した「汚水処理原価」については、関連市町と比べてもほぼ同様な費用となっている。これは、関連市町はほぼ同じ時期に供用開始しており、接続率も拮抗していることが考えられる。処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を表した「水洗化率」は平成26年度の87.35%と関連市町と比べても高い比率となっている。近年整備を終了した地区の下水道への接続が進めば適正な汚水処理と使用料収入増が見込まれる。
老朽化の状況について
本市の下水道本管は平成元年から整備を始め、市内の一部が平成8年から供用開始したものであり、現在、管路の老朽化が心配される箇所等は無い為、今後、維持管理を行って行く中で、長寿命化計画をたてて行く事となる。
全体総括
本市の下水道は平成元年から整備が始まり、全体の6割程の整備となっている。整備済の区域については順次接続件数は多くなって来ているが、公益的収支比率及び経費回収率をみても現在の下水道事業における経営は健全とは言えない状況であり、更なる接続による使用料金の収入増、及び料金水準の見直し等を行い、水洗化率の向上及び経営健全化を図っていく必要がある。