経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率東日本大震災被災直後の平成23年度は約70%でしたが、平成24年度以降は50%を下回っています。総費用を総収益のみでは賄えない状況が続いています。なお、平成25年度は将来に向けた費用負担軽減のため、地方債の繰上償還を実施し、約32%に下降しました。今後、接続世帯の増加による向上が見込まれます。⑤経費回収率平成23年度は、被災した使用者の転居等による使用料収入総額の減少により下降しました。平成24年度以降は、下水道への接続戸数が徐々に増加しており、経費回収率の向上が見込まれます。⑥汚水処理原価平成26年度は、類似団体平均値の約2.2倍であり、約290円高くなっています。地方債償還金が年々増加し、原価を押し上げています。また、被災後における増加の一因として、不明水の増加の影響があります。⑦施設利用率平成26年度は約57%です。平成25年度からは、1系列による処理から、供用区域拡大に伴う施設への流入水量の増加に備え、2系列としたことから、施設利用率は低下しました。⑧水洗化率平成26年度は前年度に比べ下降しましたが、震災後に整備した区域の供用をまとめて拡大したことによります。周知活動による普及拡大により、向上が見込まれます。
老朽化の状況について
当市の下水道は、平成4年度に管渠の整備を始め、平成6年度から供用を開始しました。管渠については、耐用年数50年とされています。現在、管渠の改築、更新は行っていませんから、管渠の改善率は0%です。耐用年数に対する残存期間は短いもので約25年ですので、更新投資・老朽化対策は、将来の課題です。なお、処理場については、主要な設備である機械・電気設備等の耐用年数は、20年程度です。建設から20年程度経過していますが、平成23年に津波被害を受けたことから、水処理の主な設備の大半は、災害復旧事業により更新しています。
全体総括
平成26年度の収益的収支比率は43.82%となっており、関連する指標である経費回収率は31.23%と低く、汚水処理原価は537.35円と類似団体平均値より高くなっています。現在も下水道供用区域の拡大に向けて整備を進めており、下水道整備区域の拡大や住宅の更新等に伴い、水洗化率の向上と下水道使用料の増加が見込まれますが、下水道サービスを持続していくためには、企業債残高に留意したうえで、経費回収率や汚水処理原価の改善が必要と思われます。