1.資産・負債の状況
一般会計等における資産総額は、前年度から減少(189,121→184,374[△4,747])しているが、過年度において県有資産となる街路整備費を本市資産として建設仮勘定へ計上しており、その錯誤修正(▲5,163)によるものが大部分を占めている。この影響を除外した場合の資産総額は、416百万円の増加(183,958→184,374)となっており、本年度も減価償却を上回る資産形成となった。また、負債総額についても主に地方債の償還が進んだことにより前年度から減少(55,048→53,114[△1,934])することとなった。
2.行政コストの状況
一般会計等における経常費用は、前年度から増加(48,432→49,065[+633])しており、人件費等から構成される業務費用18,758百万円(△135)補助金・社会保障費等の移転費用は30,308百万円(+770)となり、移転費用が業務費用を上回る構造となっている。その要因として、少子高齢化による子育て支援の強化等を踏まえた民間学童クラブに対する補助金の増加や、障害者自立支援給付費など扶助費の伸びとなっており、これらを含む補助金・社会保障費の合計額は純行政コストの51.8%を占めている。今後も保育ニーズや生活保護費の増加、高齢化の進展など増加傾向にあることから、適正な制度運営に取り組み、経費の抑制に努める。なお、行政コスト計算書上の資産除売却損(5,188百万円)については、「1.資産負債の状況」で記載したとおり、県有資産の錯誤修正によるものとなっている。
3.純資産変動の状況
一般会計等においては、税収等の財源(48,854)を純行政コスト(52,377)が上回り、本年度差額が△3,523百万円となり、純資産残高が前年度から減少(134,073→131,260[△2,813])している。前述のとおり、県有資産の錯誤修正の影響が大きく、当該影響を除外した場合は、本年度差額がプラス(1,640)に転じ純資産残高が136,423百万円(+1.75%)となる。本年度も、国庫補助を受け実施する勝連小学校増改築事業や長田団地建替事業など資産形成を実施してきたことにより、財源に当該補助金が計上される一方で、減価償却による行政コストの計上が後年度以降に年次的に行われるため、純資産が増加することとなっている。
4.資金収支の状況
一般会計等における業務活動収支は、少子高齢化を背景とした補助金等支出や社会保障給付支出などにより業務支出が増加(+418,630)したものの、税収等収入や国県補助金収入など業務収入の増加(+951,767)が上回ったことにより4,275百万円となった。投資活動収支については、生涯学習センター新築事業が完了したことなどを受け、公共施設等整備支出が前年度より減額(5,333→4,203[△1,130])となったため△2,723百万円となった。また、財務活動収支においては、地方債償還支出が新規発行額を上回ったため△1,601百万円となった。3つの活動収支を合計した本年度資金収支額は前年度に引き続いてマイナスとなったが、その規模は縮小(△348→△49[+299])している。今後も合併特例債の償還等に伴う地方債償還支出は高水準となる見込みであることから、中長期的な財政見通しを踏まえた健全な行財政運営に努める。
1.資産の状況
住民一人当たり資産額(150万円)は、県有資産の錯誤修正により資産総額から除外したことで前年度から減少することとなり、類似団体平均値(176万円)との差が広がっている。当該値が本市より大きな団体については、面積も広い傾向があり、相対的にインフラ資産整備面積の狭小な本市は平均値を下回る傾向にある。また、有形固定資産減価償却率については、平成17年度から合併特例債等を活用した新市の都市基盤整備に取り組んできたこともあり、類似団体平均値を下回る48.4%となっている。しかしながら、旧団体から設置されている農林水産施設、体育施設などの老朽化は進行しているため、令和2年度までに策定予定の個別施設計画に基づいた施設の適切な維持管理に努める必要がある。
2.資産と負債の比率
純資産・資産合計ともに前年度から減少しているものの、県有資産の錯誤修正を反映させた本来の数値となっており、当該影響を除外した場合の純資産比率は1.1ポイントの増加(70.1→71.2)となる。地方債償還が進んだことによる負債の減少や子育て支援のためのこどもゆめ基金、公共施設等総合管理基金の積み増しによる資産合計の増加が純資産比率の増加に寄与している。今後は、子育て支援の強化等による財政需要の増加や地方債償還額が高水準で推移することから、中長期的な財政見通しを踏まえた健全な行財政運営に努める必要がある。
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コスト(42.5万円)が急増しているが、県有資産の錯誤修正に伴う臨時損失計上の影響が大きく、当該影響を除外した場合は38.3万円となり前年度同水準類似団体平均値を下回る結果となる。健康福祉センターへの指定管理者導入などによる行政サービスの向上と費用縮減を図っているものの、民間学童クラブに対する補助金や障害者自立支援給付費などの扶助費による影響も大きく、今後も適正な制度運営による経費抑制に努める必要がある。
4.負債の状況
基礎的財政収支については、投資活動収支(△2,723)から基金取崩収入及び基金積立金支出を除いた赤字分(△1,696)が、支払利息支出を除いた業務活動収支の黒字分(4,779)を下回ったことから3,083百万円の黒字となっている。投資活動収支の赤字分は縮小しているものの、今後も学校教育施設の建替えなどの普通建設事業計画があることから、行政コストの縮減や、地方債充当率や交付税算入率を考慮した普通建設事業のあり方を検討していく必要がある。
5.受益者負担の状況
受益者負担比率(3.9%)は、前年度に引き続き類似団体平均を下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担割合は低くなっている。今後は、老朽化施設の維持補修費の増加も見込まれることから、公共施設等総合管理計画や、令和2年度策定予定の個別施設計画に基づいた適切な維持管理により、経常費用の削減に努める必要がある。