経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超えているものの、収益のうち、他会計補助金が減少し、委託料等の費用が増加したことなどにより、前年度と比較すると0.84ポイント減少している。今後も水洗化率の向上及び維持管理費の節減により事業の効率化を図る必要がある。②使用料収入は、当市人口ビジョンによる人口減少予測に基づき、減少すると見込んでおり、維持管理費の削減等により黒字化を図ることで、累積欠損金を解消する必要がある。③流動比率は、流動負債の建設改良費に充てられた企業債の償還が減少しているため、14.75ポイント増加している。一般会計からの繰入金による経営補助を受けて年間を通じた資金繰りを行っているため、定期的に適正な使用料見直しを検討するとともに、国の支援制度を有効活用するなど、計画的な更新投資に備えた財源確保が必要である。④企業債残高は減少傾向にあるが、今後の更新投資を見据えた財源確保が必要である。計画的かつ適正な投資を目指し、適正規模で企業債を利用する必要がある。⑤経費回収率は、下水処理場統合整備事業にかかる計画策定委託料が増加したことにより、2.28ポイント減少している。引き続き、処理場統合等により経費の節減に努め、さらなる経営の健全化を図る必要がある。⑥汚水処理原価は類似団体と比較すると低いが、今後も計画的な投資や維持管理費の節減により、一層の効率化を図る必要がある。⑦施設利用率は流域下水道に接続する処理区を除いた単独公共下水道(1処理場)の指標である。全国平均と比較すると1.26ポイント低いが、公共下水道以外の処理場を流域下水道と単独公共下水道に接続する下水処理場統合整備事業を進めることで、当市の実情に応じた規模での施設利用率を目指す。⑧水洗化率の変動はほぼ横ばいとなっており、今後も未接続調査による現状把握に努め、水洗化の啓発を行う。
老朽化の状況について
①資産全体に対する耐用年数を経過した資産の割合は上昇しているため、ストックマネジメント手法を用いて、計画的に施設の長寿命化を図る必要がある。②③法定耐用年数を超えた管渠はなく、管渠更新等は実施していないが、今後はさらなる老朽化に対応するため、計画的に改築更新を行う必要がある。
全体総括
下水道基盤整備が短期間で行われたことにより、その財源である企業債の償還が多大となっており、収益で賄いきれない支出を一般会計からの繰入金で補填している。今後は、将来の人口減少予測や節水意識の向上等による水需要の低下が懸念され、使用料収入の減少が見込まれるため、定期的に適正な使用料見直しの検討を進める。引き続き、当市下水道ビジョン及び経営戦略に掲げた施策目標「持続」と「リスクの抑制」の達成に向けて、下水処理場統合整備事業等の具体的施策に取り組み、維持管理費を節減するなど、事業の効率化を図ることにより、経営の健全化を目指す。