経営の健全性・効率性について
【単年度の収支】収益的収支比率は、施設整備時の起債借入の償還が多額となっているため、90%を下回っている状況が続き、慢性的な赤字経営となっている。なお、平成24年度に数値が大きく下がっているのは、繰上償還に伴う補償金の支出によるものである。【債務残高】企業債残高対事業規模比率は、施設整備は完了し、償還が進んでいるため、年々数値は減少し、類似団体平均値及び全国平均値を下回っている。ただし、今後長寿命化対策や統廃合事業の実施により、再度上昇に転じることが予想されることから、適正な投資規模を検討し債務残高の増加を最小限に抑えていく。【料金水準の適切性】経費回収率は、類似団体平均値を上回ってはいるが、施設整備時の起債借入の償還が多額となっているため、70%台と低い値で推移している。使用料収入の確保及び経費の削減に努め適正な料金水準である100%に近づけていく。【費用の効率性】汚水処理原価は、施設整備時の起債借入の償還が全体額の6割を超えて多額となっていることから、全国平均値及び類似団体平均値を上回っている。更に今後は、施設老朽化により修繕等の経費が増加していくことが予想される。当該数値の上昇を抑えるため今以上の経費削減に努める。【施設の効率性】施設利用率は、人口減少により減少傾向なうえ、類似団体平均値を下回って推移している。大幅な人口増による値の改善は見込めない中、施設の統廃合等を進めて効率的な施設運営に努める。【使用料対象の捕捉】水洗化率は、過去5年間類似団体平均値を大きく上回り微増している状況である。ただし、区域内の下水道整備は完了しており、大幅な増加は見込めない状況である。
老朽化の状況について
【管渠の更新投資・老朽化対策の実施状況】平成62年~平成9年にかけて供用開始された事業であり、供用開始後29年が経過している。耐用年数を経過した管渠はなく、管渠改善率は過去5年間0%となっている。現時点では適切な維持管理を行うことで施設の延命化に努めながら、施設更新に向けて検討し、計画的な更新を実施していく。
全体総括
本事業は、昭和62年~平成9年にかけて供用開始し、整備率は100%となっている。施設建設時の起債借入に伴う償還金(資本費)が、多額(汚水処理費の6割超)となっており、収支を圧迫していることに加え、今後、人口減少による使用料収入の減少や施設更新に伴う支出の増といった要因より、ますます経営状況は厳しくなることが予想される。今後は、平成29年4月に地方公営企業法を適用し、企業会計方式に移行することで、事業の計画性や透明性の確保、財政状況及び経営状況の透明化・明確化を図り、本年度策定した中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」に基づき、計画的で合理的な事業運営を図り、経営改善に努める。