経営の健全性・効率性について
昨年度より下水道事業が法適用に移行した。経常収支比率は100.83%の黒字であるが、経費回収率が71.21%となり下水道事業が町一般会計からの補助金によって成立っている。累積欠損金比率は0%で、経費回収率が類似団体平均値より8.56%低いため、適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要である。流動比率については、32.48%であるが固定資産(投資その他の資産)として下水道事業基金を114,848千円積立てており、それを取崩せば1年以内に支払うべき債務は解消され、100%以上となる。企業債残高対事業規模比率については、概ね類似団体平均値と同水準で推移しているので、適切な更新投資及び経営活動が行われていると考える。汚水処理原価については、地理的要因等もあり類似団体平均値より27.92%高くなっているので、より最適な処理方法等も研究しながら経営改善を図っていきたい。施設利用率については、類似団体平均値より8.45%高く効率的な施設規模で利用していると考える。近年では、人口減少により水道使用量も低下し排水使用量も減少しているため、一般会計からの繰入金によって経営が維持されている。水洗化率も80.78%に留まり、類似団体平均値よりも1.28%低くなっているため、年末年始やお盆など帰省客や未接続の家屋に対し、下水道への接続促進を啓発し、更なる水洗化率の向上に努めていくことが必要である。
老朽化の状況について
供用開始から17年が経過している。比較的施設が新しいため、類似団体平均値と比べ12.48%低くなっている。地理的条件からマンホールポンプ及び宅内ポンプの施設が多いため、部品の交換や修繕が必要となっている。令和元年度~令和2年度にかけて策定した「上松町公共下水道ストックマネジメント計画」を活用し、有形固定資産の長寿命化やオーバーホール等の時期を適切な管理及び投資計画を実施する。管渠については、令和3年度県道の改良事業に伴い布設替えを予定している。マンホール蓋等の硫化水素による劣化が懸念されるため改修時期を検討していく必要がある。
全体総括
今後ますます少子高齢化による人口減少が見込まれ、下水道の排水使用量も減少するものと思われる。下水道への接続の啓発を継続して行い、汚水処理に係る適切な使用料の確保に努めるため、料金改定や下水道区域内の空家を減らし、安定した汚水処理人口規模を維持していく必要がある。