経営の健全性・効率性について
経営の健全性を計る指標のうち、企業債残高対事業規模比率、経費回収率は類似団体平均に比べ良好であったがH28は大きな修繕があり悪化した。収益的収支比率・経費回収率は100%を下回り、費用を賄うに必要な収益を得られてはいない。数値の詳細を見てみると、収益的収支は黒字を示し現状で維持管理費用は使用料収入等で賄えている。しかし、公費負担分を除く資本費を賄えるまでには至っていない。これは、処理施設や管路施設の初期投資が非常に大きく、水洗化し十分な使用料徴収までの時間差が大きいという、下水道事業の特質によるところが大きい。また、処理可能な汚水量に対し実際に処理している汚水量の割合を示す施設利用率をみると、H28で41.95%と大きく能力に余裕がある。これは、水洗化率が示すように、徐々に増加しているものの下水道に接続された戸数がまだ計画を下回っていること、特に大きな汚水量を見込む事業場の接続が進まないことによるものが原因と考えられる。上記の対応として、総合一括管理委託による運転管理を通じて汚水処理原価の一層の抑制を目指すと共に、農業集落排水の公共下水への統合計画を実行し、施設集約による処理原価の低減・施設の有効活用を図っていく。また、使用料金についても、策定した下水道経営戦略による収支計画に則り、適切な時期に検討、改訂を行う。
老朽化の状況について
供用開始より15年余りが経過しているが、管路の耐用年数から施設の更新は未着手である。今後は圧送管の出口など特に腐食の恐れのある部分について定期的な確認を行い、状況の把握に努める。処理施設、マンホールポンプ施設については、維持管理の中でコストと修繕による機能維持とのバランスを図ってきた。今後は公営企業会計移行に伴う資産調査結果を反映したストックマネジメントを通じ各資産の老朽化・重要度を把握し、年次的な更新計画と収支計画の整合により、適正な処理を保ちつつ安定した経営を目指していく。
全体総括
平成12年8月に供用を開始して以来15年余が経過し資産の更新期が近づくと共に、人口減少や土地利用状況等社会情勢も計画立案当時とは変化している。下水道事業は、日々の汚水処理を通じ公共水域の水質を保全し住民の生活環境を守るために欠くことのできない重要なサービスを担っており、将来にわたり安定的にサービスの提供が継続されなければならない。これらに対処するため、資産の集約・規模の縮小も含めた事業の見直しを進める。まずは農業集落排水事業の公共下水道への統合を進めていく。また、「高森町公共下水道事業経営戦略」の策定と公営企業会計への移行を行い、将来にわたる収入と支出の均衡を保ちつつ計画的な資本投資をすすめ、安定した経営及びサービスの提供に努めていく。