経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、類似団体と比較しても、一定の経常収益を計上している。②累積欠損金比率については、H24年度から利益剰余金を計上しており発生していない。この要因は、平成22年度5月使用分より使用料の改定と一般会計からの繰入の見直しを組み合わせて行ったことによる経常収益の増によるものである。当市は、複数事業の会計・経理を一体として行っており、下水道会計全体では、経常収支比率は108.60%、累積欠損金は0.00%である。③流動比率については、当年度数値は類似団体と比較して高い数値を示しているが、下水道会計全体では35.83%と低く、短期的な債務に対する支払能力の低さが課題である。④企業債残高対事業規模比率については、管路等の整備がほぼ完了し、企業債(借金)の償還がピークを過ぎていることから、類似団体と比較して低い値を示している。しかし、今後は管路の長寿命化等により再び企業債が増加することが予見されることから、費用の平準化等による効率的な管理運営、投資・予算配分の適正化に努める。⑤経費回収率については、一定のルールに基づく他会計からの繰入金(高資本対策に要する経費分)がH28年度より減少したことや、不明水※対策に係る費用が嵩んだことから前年度より低下している。今後汚水処理経費の見直しと使用料収入の確保に努める。※不明水…処理する汚水のうち、管路内に侵入してきた地下水など料金収入に繋がらないもの⑥汚水処理原価については、有収水量が年々減少し、汚水処理経費も上記⑤の要因で増加したため、前年度より増加した。
老朽化の状況について
当市における公共下水道事業は昭和46年から建設着手しており、現時点において法定耐用年数を経過した管路等はない。①有形固定資産減価償却率については、上昇傾向にあるものの全国平均値、類似団体平均値と同様の状況にある。下水道会計全体での有形固定資産減価償却率は、26.54%となっている。
全体総括
Ⅰ.現状分析1下水道会計全体では、①経常収支比率は108.60%、②累積欠損金比率は0.00%により単年度収支が黒字、累積欠損は発生していない。また、③流動比率35.83%、④企業債残高対事業規模比率1,127.16%、⑤経費回収率61.18%となっており、使用料収入とその他財源の収入バランスの検討が必要である。2下水道会計全体での2.①有形固定資産減価償却率は26.54%であるが、将来の管路等の更新について検討が必要である。Ⅱ.経営改善に向けた方向性平成29年3月に経営戦略を策定し、将来の人口減少による使用料収入の減や老朽施設の更新を視野に入れ、不明水対策等により有収率を高める(収益の確保)とともに、料金改定・その他財源の確保を検討することにより、経営の健全化に取り組む。※経営分析表の前提条件当市では決算統計区分の事業の会計・経営を一体とし、下水道使用料収入も一本化されている。